「マーキュリー通信」no.168【衆議院議員選挙公開討論会に参加して】
社団法人東京青年会議所豊島区委員会主催の衆議院議員選挙公開討論会が豊島区立南大塚ホールで8月27日(土)19時30分~21時まで開催されました。 豊島区は、郵政民営化法案反対論者小林興起氏が新党日本を旗揚げし、それに対し小池百合子環境省が選挙区を鞍替えし、刺客として登場した話題の選挙区です。 昨夜は収容人員約300名に対し満席の状況で今回の総選挙に対する区民の関心の高さが伺われました。又、大手マスコミも取材に現れ非常に盛り上がった公開討論会でした。 討論会の手順は、一人3分の持ち時間を決め、各候補者に時間厳守を守らせたお陰で、テレビ討論会でよくある他候補者の意見を途中でカットし、各自の意見を主張しあう自己主張の場といった見苦しい場面はなく、すっきりと討論会を聴くことができました。 又、政治家の話を身近に聴くことができ、楽しい1時間半の討論会でした。
今回の総選挙に臨み、私自身各党のマニフェストを読み、又、郵政民営化法案の問題点も事前に勉強しておいたので、これに対し各候補者がどのような意見を主張するか期待を持って討論会に臨みました。
討論会参加者は、自民党小池百合子氏、民主党鮫島宗明氏、新党日本小林興起氏、共産党山本敏江氏の4氏でした。
議事進行は、青年会議所のコーディネーターからの質問で進んでいきます。
まずは、年金問題。それから税制、行財政問題へと進んでいきました。この辺までは、各党候補者は、その応対ぶりにさすがと思わせました。
一番面白かったのは、郵政民営化に関する質問でした。 郵政民営化法案に賛成は小池氏1人。一方、郵政民営化に賛成は共産党山本氏を除く3氏が賛成。
郵政民営化に関しては、民主党鮫島氏が具体的な提案でより説得力があった。何故、郵政民営化法案に反対なのか? 郵政事業は民営化していくべきなのに、小泉首相は実質民間が参入できないような障壁を設けた。これが反対理由。 一方、郵貯、簡保を早急に民営化しても、特別会計から流れていく資金の出口が不明。民主党は、時代的役割を終えつつある郵貯、簡保資金を圧縮しながら、narrow bankの方向に持っていく。 但し、郵便事業だけは、ドイツの失敗事例があるので、公社のままで継続するのが妥当と主張する。
小林興起氏は、自らが郵政民営化を推進してきた。財務副大臣の時に、郵政公社化し、民間から生田総裁を引っ張ってきて、郵政公社の黒字化を果たした。 今回の法案に反対した理由は、「ブッシュ-小泉首相対談により決められたもの。米国は、イラクとの戦争で財政の大赤字。それを補うために、何としても日本の340兆円もの郵政マネーが欲しい。それに加担する竹中シナリオに反対しているのである。」と熱く語る。 米国への加担例として、長銀に6兆円もの税金をつぎ込み、米国リップルウッドに僅か10億円で売り飛ばした。財務省はその際、瑕疵担保条項を付けて、もしリップルウッドが買収後、予想外の瑕疵を発見したら、その損失は補填するというとんでもない恩典を与えた。その後、リップルウッドが1兆円の上場益を手にした。「もし、自分が財務大臣なら瑕疵担保条項という特典を付けて、日本の銀行に買わせた」と熱く力説する小林興起氏に対し、会場から拍手喝采(但し、司会から止められているので、控えめな拍手喝采)。 更に、「日本再生には、行財政改革が1丁目1番地。郵政民営化ではない!」と断言。 これに対し、小池百合子氏は自らの不勉強を露呈してしまった。郵政民営化法案に対しては、小泉首相の受け売りで、あくまでも総論に終始し、自分の意見として出てこない。 郵政・財務問題に関し、ニュースキャスター上がりの小池氏が、その道のプロと対等に戦おうとしても、所詮無理だった。その意味で、今回の討論会は小池百合子氏の完全敗北といえる。
尚、共産党山本敏江氏に関しては、庶民派を強調する気持ちは理解できるが、いかんせん大局観に欠け、視野狭小。最後に、「憲法改悪絶対反対。9条を変えて、徴兵制施行により私の可愛い息子をとられたくない!」と訴えるに及び、会場はシラケムードが漂い始めた。この政党が5%から脱却できない理由がそこにあるといえる。
我々団塊の世代が学生の頃、大半の学生は社会党か共産党に清き1票を投じた。しかし、社会人となり、社会の仕組みが判るようになると、共産党の主張がいくら一部分で正当と思われても、大局観に欠け、時代錯誤的と判ってきてしまう。
旧ソ連の共産主義は75年かけて失敗が証明された。北朝鮮では、金正日による独裁政治と世界最貧民国の1つとして軽蔑され、恐れられている事実をもっと直視すべきだ。そこを真に理解できたなら、共産党という看板を外し、党名を変えれば、国民の共産党に対する警戒心が薄れ、もっと支持率が上がるはずなのだが。
一方、もっと寂しいの社民党です。今回の討論会では全く蚊帳の外でした。我々学生の頃の期待の星、社会党は一体どこに行ってしまったのでしょうか。戦後60年、もし社会の主張していたことが実現していたら実に恐ろしい日本となっていたはずです。そこを猛反省せず、何のビジョンも持たずに、ただ単に反対野党1本できたツケが現在の没落の最大原因となっていることに気付いて欲しい。 又、自民党の独走、横暴を許した最大の要因の1つの健全な野党がなかったことです。 その意味で、社民党、共産党、そして民主党の労組支持議員が一致団結して、「大衆党」「庶民党」「市民党」といった政党名を名乗ったらいかが。
日本は、今後益々強者と弱者の差が拡大していく社会となっていく。弱者支持を鮮明にした政党を是非これら弱者3党が大同団結して作り、大政党の暴走を歯止めし、リップサービスでない真の庶民のための政治を訴えていって欲しい
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