「マーキュリー通信」no.177 【元大蔵官僚の私の財政再建論】
経済工学研究所森木亮理事長主催の「政策懇話会」に昨日参加しました。 経済評論家森木亮先生からは、又勉強させて頂きました。 5月に発刊した「2008年IMF占領」は各界にかなりのインパクトを与えているようです。 同書は、現在の国家財政は危機的状況で、2008年には国家財政は破綻し、IMF占領の下、経済再建に当たるだろうと予想しています。
森木先生の今回の郵政民営化法案に対するコメントは、「母屋の改革でなく、離れの改革である」と断じました。
郵政民営化後は、今度はBIS(国際決済銀行)の指導を受ける。その際、大量の国債発行が問題視され、郵政銀行は再び国有化を余儀なくされるだろう。政府系金融機関で340兆円の巨額の資金もつ銀行は海外に例がない。メガバンクの上を行くギガバンクであり、民間にも例がない。海外の政府系金融機関は精々数兆円規模。政府の役割はこの程度に留めておくべきだ。
昭和40年に国債を発行すべきかどうか時の福田大蔵大臣と社会党木村喜八郎議員との間で大論争が繰り広げられた。戦前、国債発行により戦時インフレを引き起こしたので、当時は国債発行は法律で禁じられていた。木村議員は身体を張って国債発行に大反対した。しかし、福田蔵相はのらりくらりと詭弁で対応し、結局1972億円の国債を発行することとなった。
あれから40年が経ち、国債発行残高は何と約3500倍680兆円、しかし、実際には地方債も加えると1059兆円の巨額に上り、戦時インフレと同様の状況となってきた。本当に懲りない日本人といえる。
総選挙後には消費税のアップが俎上に上るが、3%程度では焼け石に水。15%程度引き上げ、20%程度にしないと、年金問題を含め財政難を解決できない。 消費税20%という数字は先進国の国際的水準。しかし、日本でこれを実行しようとしても政治的に無理。従って、IMF介入となってくる。
さて、当日、東大卒元大蔵省主計局長のエリートが「私の財政再建論」を講演しました。しかし、講演の内容は、財務省から入手した資料に解説を加えるだけで、本題の「私の財政再建論」は聞けず、「私にはできません」で終わりました。 元大蔵官僚の、傍観者的態度、責任を忌避する態度がありありで、聴いている人はしらけてきます。元高級官僚の講演は何回か聴いたことがありますが、いつも同様の調子で、本当におもしろみがありません。 東大在学時代、学問では優秀だったのでしょうが、実社会に出ると、思考停止状態に陥ってしまうのでしょうか。このような高級官僚が日本の中枢を担っているのでは、激動の時代に対応できるわけがなく、現代の日本の危機を招いたのも頷けます。
当日の参加者数人に講演の感想を聞きましたが、皆異口同音に「つまらなかった」でした。そして、私同様多くの人が居眠りをしていました。
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