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2005年9月22日 (木)

「マーキュリー通信」no.190【マイホーム信仰の呪縛から解放】

 国土交通省が20日に2005年の基準地価の下落幅が全国的に縮小し、特に東京23区は15年ぶりに上昇に転じた旨発表した。

 日経の記事では、『脱「資産デフレ」に半歩』という見出しで今後の地価上昇を予測している。しかし、これは中国特需を中心とした3年8ヶ月に及ぶ現在の景気上昇が影響していることと、強者と呼ばれる一部富裕層向け高級マンションが人気を博していることによるものです。

 マンション供給の実態は、日経ビジネスにも特集が組まれていたように、人気薄物件は都内でも1000万円、2000万円の値引きは当たり前と報じていました。
 いずれにせよ、一部の人気物件の価格上昇は2007年頃までと思われます。2007年に消費税が10%前後にアップされるので、その前の駆け込み需要で人気を博し、消費税アップ後は、極端に需要が落ち込むことが予測されます。前回3%から5%に値上げされた時でさえそうでしたが、次回値上げは5%以上と思われるので、値上げ前の駆け込み需要と、値上げ後の反動は極端になると思います。

 さて、本日のテーマ、「マイホーム信仰の呪縛から解放」ですが、マイホームを持つことのリスクを考えると、今後はマイホームを持つデメリットの方が格段に大きくなっていきます。
1.価格下落のリスク
 団塊の世代が2007年以降定年退職していくが、マイホームを買い換えるかどうかにその動向がかかっていますが、基本的には年金が満足にもらえないことに気付き、マイホーム買い換え意欲がなくなってくる。
 又、これまでの生活水準を維持するために、年金だけでは生活が困難でマイホームの売却が進み、これが資産デフレを促進する。地価暴落に関しては、多数書籍が出版されているが、「地価最終暴落」(立木信 光文社1000円)が面白いです。

2.欠陥住宅のリスク
 原油価格の高騰で、一次産品の値上げ、資材インフレ、輸入インフレの影響が出始めている。但し、価格転嫁のできないものが多いので、住宅の場合には手抜き住宅となる。これは過去の例で常識。日経でも現在欠陥住宅の特集を組んでいる。

3.土壌汚染リスク
 化学工場跡地、ダイオキシン、アスベスト等様々な汚染物質があり、入居してから汚染問題が顕在化する例が多発している。

4.マンションの場合、暴力団、風俗業者等好ましくない入居者による管理組合支配
 投資マネーが売れないマンションを大量購入している。ひどい業者は、ラブホテル代わりに使っている。彼等は管理組合を支配し、居座っている事例も出ている。

5.大地震、風水害等天変地異のリスク
 大地震により、家屋倒壊のリスク、マンションの場合、建物被害により資産価値が半減したりする。因みに、私が以前住んでいた江東区のマンション価格は、バブルのピーク時から6割下落し、その後阪神大震災発生によりマンションは危険だとの風評が広がり、私の住んでいたマンションは全く耐震防災上全く問題なかったのに、1300万円も値下がりしました。

6.先行き収入が読めないリスク
 日本は強者、弱者の差が今後も拡大していく社会となり、これまでのような一流大学を卒業し、大企業に就職すれば、右肩上がりの収入が保証される時代は終焉した。\n\n バブル崩壊以降も、当初の返済を楽にする「ゆとりローン」というキャッチフレーズで大量のマイホームを供給してきましたが、これは結果的に「地獄ローン」となり、多くの破産者を出し、多数の自殺者を出しました。

 ここで、政府がこのようなマイホーム政策を推進していくと、再びローン地獄を作り出し、多数の自殺者を出すという因果関係をしっかりと認識すべきです。今後は、政府が良質な賃貸住宅住宅を増やしていくべきです。日本は安くて良質の賃貸住宅が極端に不足しています。
 10年近く前に、韓国ソウルに旅行したときに、ソウルでは30歳の共稼ぎ夫婦で100?uの賃貸住宅に住んでいると聞きました。

 日本でもやればできます。少子高齢化の進展により、土地が大量に余ります。土地は更に暴落していくわけですから、良質の安い賃料の住宅を大量に建設していくべきです。そのことにより、景気を刺激し、国内需要を喚起し、税収が伸びます。
 今後は、自分のライフスタイルに合わせ、住む住居を変えていく方が得策です。右肩上がりの時代なら、マイホームを持つことで資産価値が上昇していきますが、少子高齢社会の右肩下がりの時代は、資産=負債となり、リスクとなります。もし、3000万円の住宅ローンがあるなら、それがリスクです。賃貸住宅なら、収入が大幅に減少すれば、住み替えればよいのですが、マイホームの場合には、そうはいきません。ローン残高が大きいと、売却価格の方が少ない場合が頻発しています。
 私自身、これまで賃貸住宅に3度住み、マイホームは2回買い換え、3箇所に住みました。それぞれライフスタイルに合わせ借りたり、買ったりしてきました。

 生涯一番気に入っていた住宅は、カナダ・カルガリー市の超高級マンションでした。20年以上前でしたが、会社まで徒歩15分、145?uの2LDKS、リビングは30畳くらいあり、16階から見えるカナディアンロッキーの景色、それに夜景もきれいで、まさに100万ドルの価値がありました。
 家賃は光熱費、駐車場代、管理費込み、室内プール、スカッシュコート、バー付きの高級マンションで、当時1100カナダドルでした(1ドル=170円)。本当に賃貸住宅の良さを堪能しました。

 私の事務所(東池袋2丁目)の目の前に、住宅供給公社が大型賃貸マンションを建設中です。平成19年末に完成予定ですが、もし私のライフスタイルに合う間取りと家賃なら現在のマンションを売却し、住み替えを考えています。

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