« 「マーキュリー通信」no.289【私のコミュニケーション論-13「プライドの功罪」】 | トップページ | 「マーキュリー通信」no.291【ライブドア事件裏情報】 »

2006年1月22日 (日)

「マーキュリー通信」no.290【王道と覇道】

耐震偽装から株式偽装へと、最近1週間のホリエモンを巡るマスコミ報道は、まさに天国と地獄程の差があります。IT時代の寵児が、今や犯罪者扱いにされています。
 人には光と闇の部分がありますが、光の部分が強いとその闇の部分は見えません。ホリエモンという光は非常に強い光源でしたが、同時に闇の部分もかなりあった。今後はその闇の部分がどんどんクローズアップされ、時代の寵児から凋落の凋児へとなっていくことでしょう。

 さて、今回のライブドア事件を見て、私自身も教訓を得ました。事業、経営、仕事というのはやはり「王道」で行くべきだということです。普段の努力精進の積み重ね、その連続の結果としてその仕事なり事業が評価され、会社として業績を伸ばしていくことになります。その間、経営者として様々な試練があり、経営者として、人間として磨かれ、経営者の器が大きくなるに従い、その会社が伸びていくという基本原則を改めて認識したことです。飛行機の場合、機体が大きくなればなるほど滑走路の長さも長くなります。つまり、大きな会社にするには、それなりの努力と、運(時代、環境、人、金、情報等)にも恵まれなければなりません。

 ホリエモンの場合、僅か10年程度の間に、資本金僅か600万円の会社を、時価総額が何と10万倍以上の7000億円に膨張させました。しかし、ホリエモン自身10年で10万倍の器に広がったとは到底思えません。器の拡大には、人格の拡大も伴ってきます。この事件で覇道経営の没落が始まったといえます。

 私なら、豪華な事務所も、家も、車も、愛人もいりません。数千億円のお金があるなら、現在日本が抱えている諸問題に使っていきたいと思います。
 一例を挙げるなら、高齢者が生き甲斐を持って生きていけるようなそういう施設作りをしていきたいと思います。又、日本全体で精神的荒廃が進む中、心の問題をケアするようなそういう事業展開をしていきたいです。
 更には、それだけのお金があるなら、政治家と事業家を兼ねたような、住民が平和で安心して暮らせる理想郷(ユートピア)を建設していきたいとも考えます。

今回のライブドア事件では、再びバブル的考え方(楽して大金持ちになろうという甘い考え方)が台頭してきたことに対し、良い意味で冷水をかけたことと思います。バブリーな経営を排除し、経営の原点に立ち帰り、王道経営をしていく。この原点に立ち、経営の舵取りをし、足腰の強い景気回復になることを期待しています。

 さて、現在親交のある三井物産社友須賀等氏から下記のようなメッセージが届きましたので、ご紹介します。須賀等氏は、三井物産のベンチャーファンドの草分け的存在の人物で、現在も、タリーズコーヒー始めベンチャー企業の顧問を多数兼ねています。私ともベンチャー企業2社のダブル顧問をしている人です。今回のライブドア事件で、本質をついたご意見です。

 『小生は1985年にハーバードでMBAを取得してから今日に至るまで20年以上に亘り、一貫してわが国の海外M&A・ベンチャーキャピタル事業の、文字通り黎明期から、自己のキャリアをかけて、M&A・ベンチャーの実務に関わってきており、それなりの結果も残してきています。
 然るに今般のライブドア関連の一連の報道を見聞きするに、わが国全般のM&A・ベンチャーに対する知見・見識といったものが、戦後の経済発展がこれらを多用せずに成し遂げられたものである故か、あまりにも希薄で、学生を含む国民一般にM&A・ベンチャーについての正しい啓蒙が皆無に近く、カネがカネを生む表層的・反社会的な不法行為と本当の実業に基づくM&A・ベンチャーとの区別もつけられていないことに本当に大きな危機感を覚えます。

 小生が今日のキャリアの基礎を築いた三井物産・MVC時代に多くの大変優れた上司・諸先輩に繰り返し言われていたことは、「M&Aやベンチャー(IPO)の持つ爆発的(破壊的)な力は、決して単なる財務的なカネ儲けに自己目的的に使用しては\nならない、実業の現場が汗水たらして築き上げた社会的に意義ある成果をさらに発展させ、新しい産業とならしめて世に出す為にのみ用いられるべきである」、ということです。
 言葉を変えて言えば、資本市場での期待感・幻想のみに基づく虚業・虚構のカネで利益をあげてはならず、そのような利益は反社会的で全く評価されない、ということです。本当の個人に対する巨額の報酬や利益は実業の世界で何年、何十年もかけて立派な成果を挙げた結果に対してのみ与えられるべきものであり、自らはまだロクな利益も社会貢献も達成していないのに、将来の幻想を振りまいて他人から集めたカネを自己の財産のごとく貪る行為とは厳密に峻別されるべきでしょう。
(因みに米国でもエンロンの経営陣はじめ、こういったけしからぬ輩は少なからず現れ、社会的に厳しく糾弾・制裁されました。)

 これまでの小生の関って来た仕事は1件残らず、全てこの物差しを徹底しており、例え巨額の利益をもたらすことが判っていても、上記の物差しに合わない仕事や経営者とは一切お付き合いをお断りしてきました。
 世の中の多くの「識者」・マスコミ・はたまたベンチャーを知りもしないで「ベンチャー塾」なるものをカネ儲けの為に経営している有名人の多くは、上記のような、良く考えればすこぶる当たり前のことを殆ど理解しておらず、金儲けこそがベンチャーやM&Aといった考えを奨励し、その幻想に基づく虚飾の城の生活をあたかも英雄視しています。

 彼らには、少しも日本経済の将来の中でのM&Aやベンチャーの果たすべき重要性を真摯に考え、学生も含む一般国民全体、にもっと汗水たらして社会的意義ある仕事をすることの重要性を啓蒙する姿勢がないことは、ライブドアの当事者同様にその社会的責任を厳しく指弾されるべきでしょう。

 起業する学生はじめ、多くの若者も「六本木ヒルズ族」を英雄視し憧れることは、所詮「オーム真理教」に多くの頭脳明晰な筈の若者がかどわかされたのと同様の、心して恥ずべきことであること、の判断力くらい身につけなくては本当にこの国の将来は心配です。こういった物事を深く考え、見識を持って当たり前の常識で判断できる力すらこの国の最高学府の学生たちからも失われている話を聞くと、大学教育関係者の責任もまた、すこぶる重大であると言えます。

下記は昨年11月に小生が朝日新聞に投書し予想通りボツになったものです。
(これはその後12月に三井物産元広報室長の水野要氏が主宰する「世直しジャーナル」に「朝日新聞に物申す」というタイトルで掲載されました。)
宜しければ併せご熟読戴ければ幸甚です。

須賀 等
---
   宛先    :tokyo-koe@asahi.com\n
   題名    :六本木ヒルズ族よ 寄付をしよう
(朝日新聞 声欄 御中)
先般 朝日新聞に「六本木ヒルズ」を拠点とする「成功した」「起業家」たちについての特集記事が出、彼らが多くの若者のあこがれの的である、という趣旨が述べられていた。だがちょっと待って欲しい。一体 日々汗水たらして真面目に働いている国民から見れば想像を絶するような何百億・何千億円といった大金を資本市場からいとも簡単に調達し、それをマネーゲーム以外の何物でもない大型M&Aに血道をあける「若手ベンチャー経営者」なる者たちの実態は、そこまで多くの若者の憧れ・範とすべきものであり、朝日の特集の対象となり得る価値のある話なのであろうか? 自らの会社では一切モノ作りもせず、形のある商品を必死で研究開発して世に送りだすわけでもなく、つまるところ社会的意味ある実態のある付加価値を作り出せず、企業の成長は資本市場から調達したカネでのM&Aに頼り、自身はフェラーリやベンツ、果てはロールスロイスで出勤し、週末はモデルや芸能タレントとの高価な合コンに現をぬかし、数億する別荘を高級ゴルフ場の度真ん中に建てるライフスタイルとは、実はカネの暴力的使い方に依存する反社会的成金集団と呼ばれても仕方あるまい。
その拠点としている六本木ヒルズも 安全管理を怠り、回転ドアで小学生を事故死させ、その経営陣が有罪判決を受けていることも記憶に新しい。こんなものを纏めてありがたがってヨイショする朝日新聞の見識とは一体何なのか? 少しでも世の中に貢献し、地道に次世代の産業を育てようと、日夜必死で働いている大多数の国民から見れば、かかる連中をこれ以上増長させる記事ではなく、そのエゴとカネにまみれた実態をもっと白日の下にさらし厳しく批判・糾弾することこそ社会の公器の責務であろう。三木谷さんよ、少しはTBSを買おうとするお金の何割かを社会的な意義ある事業の寄付に回すことがエリートの務めであることを、ハーバードでは習わなかったのですか? これではビルゲイツ氏には何時までたっても追いつけませんよ。
須賀 等 ベンチャー企業役員
http://www.seminars.jp/user/product_d.php?pCD=104 (須賀CD発売)http://www.gig.co.jp/gici01.html (グローバルインシュアランス?且謦?役)http://www.little-spoon.com/(?潟Iーヴ取締役)
http://www.tullys.co.jp/ (タリーズコーヒージャパン?且謦?役副会長)http://www.visionare.co.jp/corporate/index.html (ヴィジョネア?滑ト査役)http://www.kigyojuku.com/ (丸の内起業塾塾長)***********************************************

|

« 「マーキュリー通信」no.289【私のコミュニケーション論-13「プライドの功罪」】 | トップページ | 「マーキュリー通信」no.291【ライブドア事件裏情報】 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/181862/11730095

この記事へのトラックバック一覧です: 「マーキュリー通信」no.290【王道と覇道】:

« 「マーキュリー通信」no.289【私のコミュニケーション論-13「プライドの功罪」】 | トップページ | 「マーキュリー通信」no.291【ライブドア事件裏情報】 »