「マーキュリー通信」no.331【中小企業経営者報酬規制強化対策】
私が毎月主催しております「新しい時代を創る経営者の会」で、今月は公認会計士伊藤隆先生より中小企業庁 平成18年度税制改正及び「オーナー報酬規制強化対策」を解説して頂きました。
「zeiseikaisei.pdf」をダウンロード
今回の解説は、経営者にとって実にタイムリーで役に立つ内容でした。オーナー経営者必須の内容ですので、資料を添付しましたので各経営者はじっくりと検討してください。
国会がe-メール問題でばたばたしている間に法が改悪され、中小企業経営者に対する増税が打ち出されました。その内容が官僚の勝手な思想に基づくもので、中小企業経営者としては、まさに「ふざけるな」の一言だと思います。
税務署の中小企業経営者の所得税に対する考え方は、オーナー経営者への支払給与と法人所得を合算して考えていることです。つまり「会社として利益を上げなければ、報酬を得ることあたわず」という暴論です。
具体的には、オーナー経営者への支払給与を仮に年額600万円とした場合、会社の法人所得によって税率が変わってきます。過去3年間のオーナー給与+法人所得=800万円以下なら増税となりません。この場合、会社も余り利益も上げていないし、この程度の社長給与は認めるということです。しかし、800万円超となると増税となります。仮に900万円とすると、800万円超基準が適用され51万円の増税となる。
更に、法人所得が増え、3年間のオーナー給与+法人所得が3000万円以下で、社長の給与が50%以下なら増税となりません。例えば、社長の給与が600万円のままで、法人所得が1000万円の場合、600/(600+1000)=38%となり、50%以下なので増税の対象とならない。こういうややこしい複雑な税体系になるそうです。オーナー経営者はうっかりしていると思わぬ増税にびっくりしますので、今の内に対策を打っておいてくださいね。
今後オーナー経営者は、自社所得と自分の所得を勘案しながら自分の給与を決める必要がある。但し、期中で役員報酬を増額すると、税引き後の利益処分案と見なされるので要注意です。
一方で、5月1日から1円の株式会社の設立が認められる。今度の商法改正は、何でも有りの改正です。例えば、「経営者への支払給与は、業績に連動して好きな時に支払うことができる」と商法では可能となる。しかし、税法上は認められない。ここにもお役所の縄張り意識が働き、商法改正のメリットが及ばない。しかし、商法改正は別のところで活用されるだろう。
1.上記オーナー給与+所得800万円超基準ルールに抵触しないように、経営者は1円資本企業を設立して、増税を回避しようとする。
2.消費税対策 新規設立企業に対しては、消費税は2期前の売上を基に課税される。しかし、新規設立企業には、それがないから今後1円資本企業を活用して、合法的に消費税逃れが横行する。又、売上1千万円以下の企業は免税企業だから、売上1千万円以下の1円資本企業を乱造することになるでしょう。
3.交際費対策 資本金1億円未満の企業には、年間400万円の9割までは経費控除が認められている。従って、今後1円企業を活用して、交際費節減が図られていく。
会社法の改正と、税務署は縦割り行政の弊害で、余り関連性がないので、今後中小企業経営者は知恵を絞って、節税を考えていくことになりそうです。別添資料は、公認会計士伊藤隆先生の力作ですので、是非ご活用ください。
「規制強化対策(新しい時代を作る経営者の会).ppt
「kiseikyouka_taisaku.ppt」をダウンロード
尚、伊藤先生の所では、コンビニ会計というユニークな会計サポートを実施しています。つまり、会社の領収書等を同会計事務所に丸投げすれば、同事務所で月次決算をやって頂けます。費用も格安です。http://www.cpa-itoh.com
その仕組みを聞いて、私自身はっとしました。期中は、現金の入出金で月次決算を実施していく。振替伝票は発行しない。売掛、買掛金も帳簿上は発生しない。但し、別途債権管理は必要。そして、期末に債権債務を月次調整し、損益を確定させる。
こういうやり方で、会社の経理業務を簡便化して、時間が浮いた分、社長は管理会計の方に時間が使える。まさに発想の転換です。コンビニ会計をご希望の方は、同事務所で発行している小冊子を請求すれば送って頂けます。
又、同社のホームページもご覧になって下さい。
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