「マーキュリー通信」no.344【日本人の精神的荒廃を考える-2 「安岡正篤翁の慧眼に学ぶ」】
昨日の朝の読書会、素心・師友会で安岡正篤(ヤスオカマサヒロ)先生の歴史に残した偉業を取り上げていたので、これを機会に20年ぶりに安岡正篤先生の名著「運命を創る」(プレジデント社1575円)を再読しました。
名著「運命を創る」を再読して、改めて先生の迫力迫るメッセージに学ぶところ大でした。今回は、シリーズで「日本人の精神的荒廃を考える」に関係した一説をご紹介します。
戦後、米国は日本の占領政策を実行するに当たり、基本原則としての3R、重点的施策としての5D、補助政策としての3Sがある。
3Rとは、Revenge(復讐)、Reform(改組)、Revive(復活)です。
日本軍の真珠湾攻撃に対する復讐がまずありきです。この復讐に基づき、戦前の日本の様々な制度等を壊し、改組し、その上で復活させるものは復活させるというのが基本原則です。
次の、5Dとは、Disarmament(武装解除)、Demilitalization(軍国主義の排除)、Disindustorization(工業生産力の破壊)。この3つのDにより、日本軍を徹底的に解体させ、2度と戦争ができないようにする。その為に軍隊を持たないことにさせた。これが憲法第9条に象徴されている。Decentralization(中心勢力の解体)。行政的には内務省を壊し、警察を国家警察と地方警察に分解し、力を弱める。そして、財界では財閥解体をして、軍部との癒着を断ち切る。
最後のDemocratization(民主化)は、当然米国的民主化であり、この民主化がくせ者であり、日本は民主化という器を作り、後は米国の傀儡の下に魂が入らずに今日まで来て、日本国民が余り理解していない訳の分からない民主化となっている。又、マスコミを始め自由のはき違えや行きすぎが横行しているのも、現代日本の実態です。
最後の3Sとは、日本国民のガス抜きです。あまり厳しく統治すると民衆による暴動が起きる恐れがあるので、特に当時の日本は敗戦後貧しさのどん底にあったので、このガス抜き政策も補助的に活用された。
1番目のSはSex解放であり、現代の日本は性風俗が氾濫しすぎ、大きな問題となっている。
2番目のSはスクリーン、つまり映画産業等の娯楽の奨励。そして、最後のSがスポーツ。プロ野球の復活、栃若を始めとする大相撲人気、力道山を中心とするプロレス熱により見事なまでに敗戦でうちひしがれた日本国民に勇気を与えた。これを米国側から見ると、暴動を起こさせないガス抜きとして見事に功を奏した。
こういう米国の意図の基に日本国憲法はできた訳で、安岡正篤先生は、米国の占領下の基本政策に基づいた日本国憲法は、本来日本が独立するまでの間の暫定憲法であった。しかし、いつの間にかずるずると今日まで来てしまった。
因みに同じ敗戦国だったドイツは、独立同時に暫定憲法を破棄し、国民の手による新憲法を作った。又、ドイツの場合、米国の占領政策に対し、異を唱えるところはどうどうと異を唱えてきた。しかし、日本の場合は、呆れるばかりのyes一辺倒。だから米国始め、国際的にも馬鹿にされ続けている。戦後日本の自虐的歴史観により、中国、韓国等からも馬鹿にされ続けているのは国民周知の事実です。
このような米国の占領政策が戦後60年も続き、その負の部分が現在大きな影を落としている。それがまさに精神的荒廃となって現実化している。
安岡正篤先生は、今こそ教育の重要性を説いている。中でも心の教育の重要性を挙げている。これなくして日本の真の復活はあり得ない。精神的荒廃は、一国を滅亡の道へと突き進ませることになる。心の教育の重要性を歴代総理にも説きつつ、先生の声が届かないまま、先生は83年12月に他界される。その後の日本は、残念ながら先生が指摘されたとおり、精神的荒廃の道をひたすら走り続け、最早どうしようもないところまで来ている。
しかし、昨日のboblog「マーキュリー通信」でもお伝えしたように、一部有志がこの危機に気付き、心の教育の復活に乗り出しているのは多少の救いです。
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