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2006年6月 2日 (金)

「マーキュリー通信」no.393【日本人の精神的荒廃を考える-10新渡戸稲造博士の「武士道の精神」に学ぶ】

 本シリーズで度々武士道のことを取り上げてきました。日本人が精神的復興を取り上げるなら是非武士道の精神を学んで欲しいと。これは明治以降の多数の経営者、識者、偉人等が口を揃えて唱えています。

 さて、ここでは武士道の中でも一番ポピュラーな「新渡戸稲造博士の武士道」に関し、簡単に触れておきたいと思います。詳しくは、同博士の著書並びに解説本が多数出版されていますので、是非関連書籍を読んでみて下さい。日本人の精神の原点に触れると同時に、私たちの祖先に対する畏敬の念が沸いてくること必定です。 因みに私が読んだ本は、「武士道」(新渡戸稲造著、奈良本辰也訳、解説 三笠書房、1130円)、「新渡戸稲造 美しき日本人」(岬龍一郎著 KKベストセラーズ、1200円)です。

 新渡戸稲造博士は、著名なベルギーの法学者ラブレー氏から、「日本では宗教教育が無くてどのように道徳教育をしているのか?」といぶしかしげな質問を受けました。 博士は、その時答えに窮したが、日本には学校で道徳教育を教えなくても、「武士道」という精神が脈々と流れていることに気付いた。「武士道」は日本人の壮大な倫理体系の要の石であることが判った。この「武士道」に関し、深く研究し、出版することとなった。 「武士道」は一言で言えば、「騎士道の規律」であり、「武士階級の高い身分に伴う義務」であった。その源泉は孔子の教えにある。
 この基本精神に加え、仏教より、運命に対する安らかな信頼の感覚、不可避なものへの静かな服従、危険や災難を目前にした時の禁欲的な平静さ、生への侮蔑、死への親近感などをもたらした。

 一方、仏教で不足している部分を神道で補った。例えば、主君に対する忠誠、先祖への崇敬、そして孝心などの教義が神道によって教えられた。
 「武士道」には、「義」:武士道の光り輝く最高の支柱「勇」:いかにしてハラを錬磨するか「仁」:人の上に立つ条件とは何か「礼」:人と共に喜び、人と共に泣けるか「誠」:なぜ「武士に二言はない」のか?「名誉」:苦痛と試練に耐えるために「忠義」:人は何のために死ねるかこのような徳目がある。「武士道」は日本の活動精神、そして推進力である。自己の名誉心はこれらの徳目から来ており、これが日本発展の原動力である。

 現在、「愛国心」という言葉を巡り、甲論乙駁だが、何か皮相的な意見を戦わしているにようで空しく思えます。
 新渡戸博士は、日本人以上に忠誠で愛国的な国民は存在しないと主張しています。しかし、これは新渡戸博士が生きていた頃の日本の状況であり、現代の日本人に当てはまらないかもしれない。しかし、日本人の「武士道」は800年に亘り生き続けており、戦後60年の道徳軽視の教育、風潮によりその精神が失せつつあるといっても、これを再び復活することは、日本人の心としての種火に再点火すれば可能ではないかと思います。 但し、新渡戸博士は、日本人が深遠な哲学を持ち合わせていないことは、武士道の限界であることも指摘している。

 私自身、「日本人の精神的荒廃を考える」シリーズの結論部分として、今まさにこの「武士道」の精神の復活こそ重要と考えます。そして、もう1つ仏教的精神を再度深く付け加えることで、日本人に物事を深く考える習慣を付けさせることになると考えます。私自身、仏教の教義も勉強していますが、八正道(正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定)だけを深く勉強しただけでも、物事を深く考える習慣が付いてきて、魂が燻習され、人間力がアップしてきます。

 もし、日本人が「武士道」+仏教の神髄を学び、実践していったなら、日本人の精神的荒廃は死語となり、日本に永遠の繁栄が訪れ、世界から尊敬される国となり、日本は世界文化文明の中心となることは間違いないでしょう。

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