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2006年6月30日 (金)

「マーキュリー通信」no.414【日本人の精神的荒廃を考える-15「私の理想郷 生活者大国カナダ」】

「生活者大国カナダ:20年前のカナダに現代の理想郷を見る」

 私は1980年から84年までカナダ三井物産?潟Jルガリー店に新規炭鉱開発等の仕事で駐在していました。カルガリーは、石油、石炭、天然ガスの一大拠点で、カナダの太平洋の玄関口バンクーバーから東へ約700kmの地にあり、カナディアンロッキーの東側に位置する人口60万人のアルバータ州の中核都市です。アルバータ州はカナダの西から数えて2番目の州で、天然資源が豊富で、当時カナダで唯一州税のかからない大変豊かな州でした。
 私はカナダ駐在で多くのことを経験しましたが、その中で今でも印象に残っているのが、カナダ人のライフスタイルです。

 私とお付き合いのあったカナダ人は石炭を中心としたエリートビジネスマンでした。彼らは、一生懸命仕事をしますが、プライベートライフも大事にします。もし、残業になりそうな場合には、早朝7時ごろ出勤して仕事を片付けます。夜は必ず家族と一緒に食事をとります。会社から自宅まで車で30分程度ですので、6時頃には帰宅します。カナダ人との付き合いは、夜酒席を共にすることはありません。たいてい、昼食を取りながらのミーティングです。又は、夫婦単位で家庭の食事に招待したり、されたりといった感じです。

 週末の過ごし方は、土曜はカナディアンロッキー観光を中心としたレジャー、日曜は協会に行く。カナダ着任当初、日曜日にショッピングセンターが閉まっているので驚きましたが、日曜日は協会に行く聖なる日(holy day)なのです。

 又、20日間の年間有給休暇は夏と冬にそれぞれ2週間の休暇をとって消化します。もし、有給休暇が残ったら雇用者側には買取義務があります。その為、カナダ三井物産?鰍ナも年度末にはカナダ人従業員に対し、休暇の消化を促進させます。日本人スタッフにも20日間の有給休暇がありますが、当然未消化で、休暇の買取もありません。カナダ人にはこれ以外に、病気の場合の傷病休暇が別途あります。

 一方、25年前の当時、どんな中小企業、零細企業も完全週休2日制。当時は景気がよく、石油会社を中心に週休3日制、土曜日が半ドンのところも結構ありました。
 カナダ人の所得は、当時でも日本人より少なめでした。しかし、中流の上クラスのカナダ人は、会社から車で通勤30分、200?u程度の一戸建てに住んでいました。そして、仕事も一生懸命やると同時に、プライベートライフも大切にしていました。

 女性の場合、子育てが終ると、ボランティア活動に参加する主婦も多く、男性の場合には、会社を定年退職してからボランティア活動に参加するケースが多いようです。尚、カナダでは当時でもバリアフリーがハード、ソフト面でも徹底しており、老人、身障者、妊婦等弱者が住みやすい社会でした。カナダ人は弱者に対して、積極的に手を差し伸べようとしていました。もし、目の前を車いすの人が通ったなら、直ぐに手をさしのべようとします。

 25年前のカナダには、携帯電話もなければ、パソコンもありません。ビデオデッキがやっと出回り始めた頃でした。 しかし、現代の日本と比べ、生活の豊かさでは物心両面でずっと上でした。私は、25年前のカナダにユートピアの原型を見ました。カナダ人のような生活をすることが今でも私の理想型です。

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コメント

カナダ人の精神的な豊かさは移民の多さから来ていると思いますね。しかし、アメリカもまた移民が多い国なのに何故か気質が少し異なります。豊富な資源、自然と都市とのいいバランスでの融合が豊かな精神を育むのだと思います。

http://en.wikipedia.org/wiki/Salad_bowl_%28cultural_idea%29

http://en.wikipedia.org/wiki/Cultural_mosaic

投稿: カナダlove | 2010年5月14日 (金) 05時38分

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