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2006年8月28日 (月)

「マーキュリー通信」no.460【今までの常識が覆った環境問題】

 Twain_0_6 四日市大学環境情報学部教授新田義孝工学博士とダイオキシンの話をしていた際に、新田先生より「ダイオキシンの主犯は、ゴミ焼却場による大気汚染でなく農薬である」と説明されました。そして、「環境リスク学」(中西準子著 日経BP 1890円)を紹介されました。

 著書の中西準子先生は、東京大学環境安全研究センター教授を退官された後、現在は独立行政法人産業技術研究所化学物質リスク管理研究センター長を勤めている方です。
 「環境リスク学」は、毎日出版文化賞を受賞した名著です。中西先生は、長年の環境リスク学研究の功績が認められ、紫綬褒章を受章されました。

 中西先生の学問の特徴は、ファクト(事実)を重視することです。もう1つはリスクです。
 公害のリスクの場合、リスクを特定しやすいです。

 例えば、水俣病といえば、その原因物質は、「メチル水銀化合物であり、新日本窒素水俣工場のアセトアルデヒド酢酸設備内で生成されたメチル水銀化合物が工場廃水に含まれて排出され、水俣湾内の魚介類を汚染し、その体内で濃縮されたメチル水銀化合物を保有する魚介類を地域住民が摂食することによって生じたものと認められる。」とされています。リスクを特定することが容易で、そのリスクを排除することも容易です。それでも政治的問題が絡み、解決に長期間を要したことは皆さんご存知の通りです。

 一方、環境のリスクというと一筋縄ではいかない難しさがあります。リスクを特定するのが極めて難しいのです。そして、間違った風説が流れ、それが一人歩きし、事実と誤認されることが決して少なくありません。
 ダイオキシンがその一例です。ダイオキシンの主犯は、これまでゴミ焼却炉と思われていました。しかし、60年代~70年代に大量に使われていた農薬(PCP,CNP)であることが中西先生の地道な研究の結果判明しました。

 この農薬は80年以降は使用されておらず、これに伴いダイオキシン発生量も減少しています。

 さて、中西先生の功績は、リスクと費用を天秤にかけ、そのリスクを除去するとどの位の費用がかかるのか。リスクを除去するデメリットも勘案します。経済効率という概念を導入しています。
 最近話題の狂牛病問題。日本は米国に全頭検査を要求しています。100年に1人狂牛病が原因で死ぬというリスクを考慮した場合、費用として2000億円もかかる。これでは経済効率が非常に悪い。よって全頭検査は現実的でないと判断する。
 その代わり、日本は米国に情報公開を求め、その情報に併せ、リスク軽減策を講じるべきと主張しています。

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