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2006年9月 1日 (金)

「マーキュリー通信」no.464「防災の日に思う」

  本日は関東大震災が発生して83年となります。又、阪神大震災発生後既に12年目となります。阪神大震災では、あれだけの被害を出したにもかかわらず、国や地方自治体の耐震防災事業は遅々として進んでいませんでしたが、ここに来て国もやっと最重要課題の位置づけとして取組始めてきたようです。
 しかし、平成18年版「防災白書」を見ても、耐震防災事業に関してはまだまだポーズの域を出ていないように受け止められます。
 地方自治体の動きも、やっと重い腰を上げ始めたといった感じです。Jisin_book
 
 我が地元豊島区でも9月1日から耐震補強した家庭には最高で40万円の補助金が出る旨発表しました。しかし、実際にチェックしてみると、建築基準法に合致した2階建て以下の木造住宅で、昭和56年5月以前の個人住宅といった条件を始め、補助金認可のためにいろいろと条件が付いています。豊島区の条件に合致した木造住宅は余り該当が無く、担当者に聞いたら、予算枠は僅か3世帯分120万円しかとっていないそうです。その担当者に、「これではポーズとしか受け止められませんよ」と聞いたら、「そのように受け止められても致し方ない」と回答していました。
 
 又、補助金は、建築事務所協会経由でないと受けられない仕組みになっています。
 役所側の論理としては、門戸を開放すると、役所の基準に合わない耐震補強がなされたり、不正行為や悪徳業者にも適用されかねない恐れがあることが上げられます。従って、日頃付き合いのある業者に任せた方が安心です。
 
 それはそれで一理あります。しかし、区民側からすると、せっかく耐震補強をしても、このような参入障壁を設けると、区民間で不公平が生じることになります。
 又、役所と業者のこのような利権構造は、役所と業者の癒着、更には汚職にまで発展します。日本各地でこのような問題が多数発生していますが、役所の対応は旧態依然としています。まさにお役所的対応には辟易としますが、役所側は何と言われようが、お役所的スタンスを崩すことは一向にありません。

 一方、東京都も耐震補強をした家庭には固定資産税の減免措置を3年間認めています。しかし、かなり面倒な手間をかけさせた割には、実際の還付金額は1~2万円程度の微々たるものです。都税事務所の担当官に聞いたら、「余り期待しないでくださいね」との回答。こちらもポーズでした。

 行政の実態は概ねこんなところが多いようです。「耐震補強して、地震に強い町作りをしていこう」とのかけ声はまだまだお題目といえそうです。そして、最終的には、「耐震補強は、市民一人一人の自助努力に期待します」という役人答弁で逃げてしまいます。
 大地震はいつ来てもおかしくない状況ですが、行政の実態とはこんなものです。
 その意味では、役所に過度の期待をしてはいけない。やはり自助努力で自らの建物と家族の命を地震から守ることの重要性を新たに感じた次第です。
 <追記>
9月29日(金)14時~15時30分 「0609292.doc」をダウンロード NPO法人日本耐震防災事業団http://www.nittaibou.jp/小口悦央理事長をお招きして、防災セミナーを行います。詳しくは添付案内状をご覧下さい。

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