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2007年2月 3日 (土)

「マーキュリー通信」no.568【明治、大正、昭和を駆け抜けた東大の林学博士で実学者、本多静六博士の不朽の名著3部作「私の財産告白」を読んで】

 本多静六博士をご存じない方も多いと思います。しかし、元中央大学総長(昭和27年当時)林頼三郎法学博士が、「本多博士の前に本多博士なく、本多博士の後に本多博士なし」との名言を吐かせたほど、明治、大正、昭和を生き抜いた人生の達人、偉人といえます。本多博士は、渋澤栄一翁や北里柴三郎博士とも親交があり、親友の中に元東京市長後藤新平氏もいます。その交友の範囲は、政財官学界の大物に及びます。
 日比谷公園を設計したのは本多博士であり、親友の東京市長後藤新平氏から頼まれて、関東大震災後の東京復興の青写真も描きました。

 「honda_jinseikeikakutwain_06.ffb」をダウンロード 昨年、本多博士のご生誕140年を記念して、多数の著書が復刊しました。その中で、不朽の名著3部作と言われるのが、「私の財産告白」、「私の生活流儀」、「私の人生計画」です。

 本多博士は、「人生即努力、努力即幸福」を唱え、自ら実践した人です。
 貧乏暮らしの中からお金の尊さを知り、収入の4分の1を貯金し、これをどんなに苦しくても実行に移した人です。本多の山陽道100次といわれたくらい徹底的に節倹に励んだ方です。衣類は徹底的につぎはぎし、東海道53次になぞらえ、つぎはぎの数が53次を遙かに超え、山陽道にまで及んだのでそう言われたそうです。
 そして、最後は巨万の富を築いたのですが、「子孫に美田を残す」と子孫を駄目にするので、大半を寄付、しかも世間に知られぬように匿名で寄付したそうです。

 さて、本多博士の「私の財産告白」では、誰でもできる蓄財を語っています。ビル・ゲイツのような天才が巨万の富を得る方法は一般的ではありません。
 しかし、現実には山陽道100次くらいまで徹底できるかということです。それと何の為に蓄財するのかということです。これが明確でないと徹底的な蓄財は難しいです。

 本多博士から学ぶ点は、「職業の道楽化」です。どんな仕事でも徹底的に研究し、仕事一途にその道を極めれば、自ずと「職業の道楽化」に繋がっていく。その道の達人になれば、収入も自ずとついて来るという考え方です。
 本多博士の場合、林業の道を究め、「職業の道楽化」に繋げていきました。当時でも、林業は花形の学問でも産業でもありませんでした。
 しかし、本多博士は、花形分野だから研究するのではなく、自分がやりたいからやるのであるという方針を貫き通しました。その精神的遺産が、現代の日比谷公園であり、東京都です。関東大震災で壊滅打撃を受けた東京市の復興の青写真として道幅60メートル道路を設計しましたが、大風呂敷過ぎて採用されませんでした。しかし、もし本多博士の設計通り東京都が設計されていたなら、現代の東京都の交通事情もかなり変わっていたことと思います。

 詳しくは、実業之出版社から出版されています。各部1050円と手ごろな価格ですから、是非お読み下さい。

 さて、昨年のboblog「マーキュリー通信」で、「私の読書法」を紹介しました。年間目標100冊の書物を読むことにしています。昨年は120冊ほど読みました。今年も今日現在13冊読んでいます。
 しかし、多読の傾向の為、一部の本を除き、中味を良く覚えていないことを反省しました。そこで、今年は読んだ書物の中から、何を学んだかをカードに書き出し、そのカードを保存しておくことにしました。カードの枚数は、原則裏表に書くこととしました。
 余り量が多いと長続きしないので、その程度にとどめました。又、最近キーボードばかりで文字を書くことが極端に少ないので、文字を書く練習にも良いです。
 今回の、「私の財産告白」を読んで思わずはっとしたことを書き留めました。その一例を書きます。
p82「偏狭を戒める」
 『初めの間は手堅く勤倹生活を続けていて、急に途中からぐれ出す人がいる。その理由は、己の器量以上に大きな仕事や、不慣れな事業に手を染めたり、とにかく徒に成功を焦ったり、堅実を欠くに至った人たちが失敗に帰している。』
 →これまでの自分の失敗の多くはここに起因している。まさに、私にとっての「金言」であり、「一転語」です。
 
 こんなふうに自分の読んだ書物から何を学んだことをカードに書き留めておくことで、後日読んだ時にその時のことが思い浮かんでくる。感想文では面白くないので、「はっと気付かされたこと」を中心に書き留めておくことにしています。
 本多博士の写真をboblog「マーキュリー通信」に掲載しましたのでご覧になって下さい。
<私の書見台>Shokendai1_1 大学1年生の時、大学生協で購入しました。1968年ですから、既に40年近くになります。この書見台は、一生涯私の書見の友として働いてくれることでしょう。

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