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2007年2月26日 (月)

「マーキュリー通信」no.582【環境問題を考える「環境ホルモンはどこへ行ったの?」】 

  一時大きな環境問題となった「環境ホルモン」という恐ろしい言葉が最近殆ど聞くことがなくなりました。

 昨年、「家庭用生ごみ処理機」のお客様(四日市大学環境情報学部教授)から、「「環境ホルモン」は実体のないもの、「ダイオキシン」の主犯がゴミ焼却場であることは間違いである旨聞きました。
 そして、環境学の第一人者中西準子氏(産業技術総合研究所化学物質リスク管理研究センター長、元東京大学環境安全研究センター教授)の力作「環境リスク学」(日本評論社刊)を読みました。更には関連書籍「環境ホルモン」「ダイオキシン」(何れも日本評論社刊)も読みました。

 その結果、私が理解していた「環境ホルモン」「ダイオキシン」とは全く異なるものでした。

 環境ホルモンの名付け親は、横浜市立大学(現・岡崎国立共同研究機構)の井口泰泉氏が、NHKの科学番組「サイエンスアイ」に出演した際に、担当ディレクター村松秀氏と相談して創ったもので、98年の新語、流行語大賞に選ばれた。正式な学術名は、「外因性内分泌攪乱化学物質」という。

 環境ホルモンの出所は、米国で96年にベストセラーとなった科学探偵小説(20万部発売)であり、日本では「奪われし未来」として邦訳され3万部売れた。
 この科学探偵小説が余りにも現実的で説得力であり、きちんとした裏付け調査もせずにNHKが特別番組「生殖異変 しのびよる環境ホルモン汚染」(97年11月21日放映)で放映し、反響を呼んだ。
 そして、朝日新聞が「プラスチック容器から環境ホルモンが溶出するとわかった為、環境庁がポリカーボネート製リターナブル(繰り返し使用可能)ボトルのモデル事業を中止したという記事を掲載した(99年2月24日)。この記事は、後で誤報と判り、環境庁から訂正を求められたが、訂正記事は出されなかった。

 そして、これが引き金となり、環境ホルモン騒動となり、環境ホルモン関連の書籍がどっと洪水の如く書店にあふれ出た。多くの環境ホルモン関連書籍が、朝日新聞の誤報をそのまま鵜呑みにして、記事を引用した。
 
 何故このような間違いが起きたのか?
 それはマスコミの性とも本質ともいえるようだ。つまり、「危険だ!」と叫べば、人々は関心を持つ。「安全だ!」と言っても殆ど関心を持たれない。「危険だ!」と叫んで、後で安全と判れば、許される。しかし、その逆の場合、つまり「安全だ!」と言った後に、もし、「危険」と判れば、マスコミ批判は避けられない。

 又、環境ホルモンが「危険」だという裏付けを調べるのには、1時間程度の手間暇で済む。しかし、環境ホルモンが「危険」でないという裏付けを調べるのには、膨大な時間とコストがかかる。つまり、人々の関心を引かないことに膨大な金をかけることは企業の採算面からもできない。

 環境ホルモン騒動の結果、環境庁では100億円の調査費が充てられた。その後も、毎年70~80億円の調査費が予算計上されているそうだ。
 こうなると単に国民を脅かしただけでなく、税金の無駄遣いにも繋がっている。役人の性は、一旦予算化が決まると、よほどのことがない限り、その予算は削られない。
 先日、フジテレビの人気番組「発掘あるある大事典」がデータ捏造問題の責任をとり放映中止となった。
 しかし、環境ホルモン騒動は、「発掘あるある大事典」以上に、マスコミの罪は重いといえる。

 一方、ダイオキシンに関しては、主犯格はゴミ焼却場とされている。しかし、これは事実と違う。実際の主犯は60~70年代に使用されていた農薬(PCP,CNP)だった。しかし、この農薬は現在では禁止されている。
 又、ダイオキシンの猛毒性は、サリンの2倍、青酸カリの1000倍と言われている。これは事実です。しかし、実際に大気中に存在するダイオキシンの量はピコグラムの単位で、人体には影響が及ぶ量にまで達していない。ダイオキシンが人類に影響が及ぶ確率は、隕石が地球に当たる確率程度だそうだ。因みに、1ピコグラムは1兆分の1gで、最近になりやっと計測できるようになった極々微量の単位。

 それよりも喫煙による被害の方がもっと大きいのだが、既に喫煙の害は殆どの人は知っており、今更喫煙の害を訴えてもニュースとしてのインパクトにならない。
 これも環境ホルモンのケースと似ている。マスコミは、何か新しい危険分子を持ってこないと、人々の関心とならないことを知っている。

 さて、環境問題に関しては、70年代が一番深刻で、光化学スモッグ、河川の汚染等環境汚染が深刻化した。
 しかし、その後行政、企業、国民が努力した結果、自然環境は日本も含め先進国では良くなっている。マスコミが徒に環境悪化を喧伝することは国民をミスリードしてしまう。
 マクロの面では、地球環境は良くなっている。しかし、ミクロの面、個別ではまだまだ解決していかなければならない問題は多数ある。その手綱を緩めてはいけないけれど、人類の叡智、努力も捨てがたい。このまま行ったら地球は滅びてしまうのではないかという恐れを抱く人も多いと思います。しかし、私たち人類も多少はほめてあげても良いのではないかと思います

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コメント

 いつもながら適格な意見に感心しております。いっぽうマスコミの品格の無さには、私もいつもながらうんざりしています。
 ところで、ペットボトルの商品名等を印刷した覆いが、外国では紙であるのにたいして日本ではプラスチックである理由は知っていますか。
 一説によると、ペットボトルをプラスチックで覆うには200度の熱を必要とする。空のままでは融けてしまうので、中に液体(商品)を入れてから高熱を使って包む。その時に環境ホルモンが融出するので、外国では認められていない。
 いかにももっともに聞こえますが、事実だとすると大問題ではありますね。参考までに。もしお分かりでしたら教えてください。

投稿: 鳥居 | 2007年2月27日 (火) 11時45分

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