「マーキュリー通信」no.643【心の格差社会を考える-2「格差社会解消に必要なもの-それは愛」】
首題に関し、函館の読者から恰好の具体例が送られてきましたのでご参考までにご紹介します。ヘレン・ケラーの先生アニー・サリバンの子供時代のエピソードです。アニー・サリバンは、子供の頃、心に大きな痛手を負い、拒食症で明日にも死ぬかというどん底の状態でした。そんな彼女を救ったのは掃除婦のささやかな愛でした。このエピソードに、現代の日本の「心の格差社会」を解消するヒントが隠されています。
『愛が人を復活させる』
・・・「1本のホウキが生んだ、世界の奇跡」ヘレン・ケラー・・・
何も見えず、何も聞こえず、何も話せない。完全な闇。三重苦というとびきりの障害をもちながら、アニー・サリバンという最高の教師の力を得て成長し、世界中の福祉に貢献た、誰もが知るとびっきりの偉人です。
彼女の力が、どれほど世界中に莫大な力をおよぼしたか、どれほど多くの人々を救ったか、今さら語るまでもないでしょう。「なぁんだ~よくある偉人のおはなし?」いえいえ、これは、ニュー・イングランドにある精神病院で働く名も知れぬ、普通のお掃除のおばさんのお話です。
彼女のはたらく病院の地下室には「緊張型精神分裂病」と診断された10歳の少女の患者がいました。何に対しても反応を示さずただ暗い地下室のベットにうずくまっているだけ。少女は、もう回復の見込みはないと考えられていました。世界から見放され、一言も話すことなく、胎児のように丸まったまま、決して動こうとはしなかったのです。以前はとても可愛らしい少女だったのですが、いまや日々やせ衰えていくばかり。
彼女は、そんな少女の個室のまわりを、毎日掃除をしにやってきました。そして、ドアの下のすきまから、食事をホウキの柄で中に押し込みます。彼女にも同じくらいの歳の娘がいたせいか、少女を不憫に思いますが。。。そこはただの掃除婦、もちろん何もしてあげることはできません。そこで彼女は、せめてそこを去る前に、うずくまる少女の肩をホウキの先でそっとつついてあげることにしました。「 ねえ、あなたはひとりじゃないんだよ? 少なくとも、ここにあなたを気にかけている人間がいるんだよ」という思いを伝えたかったのです。掃除のおばさんには、この程度のことしかできませんでした。ほんの小さな愛の実践です。ホウキの先ほどの。。。そんなことしかできませんでした。
でも、その程度のことしかできなくても、ただただ伝えたかったのです。だからくる日もくる日も、彼女はホウキの先で、その少女を優しくつつき続けました。そして、何週間か経ったある日のこと。小さな変化が起こりました。ただ死を待つばかりだった少女が、なんと自分の手で食事を受け取るようになったのです。さらに時が経つにつれ、少女は座ることもできるようになり、掃除婦のおばさんと話をすることまでできるようになったのです!
こんなことって、ありえるのでしょうか?偉いお医者たちでも、完全にお手上げだったのに??こうして少女は、やがて奇蹟ともいえる回復をとげることができたのです。
それから何年か経った、あるうららかな春の日。その精神病院の院長は、アラバマ州のひとりの紳士から、ある依頼を受けました。その紳士のお子さんが重度の障害児で、世話をしてくれる人を探しているというのです。その頃、あの奇跡的な回復をとげた少女は、20歳になっていました。院長は、自信をもって、その彼女を紳士に紹介しました。彼女の名は、アニー・サリバン。そう、ヘレン・ケラーの偉業を生みだした教師です!地下室でただ死を待つしかなかった、あの少女が、です。
ヘレン・ケラーの世界的偉業。それは、アニー・サリバンが創り出したということは、今や万人が認める所です。でも、ちょっと思い出してみてください。
そのアニー・サリバンを創り出したのは、誰なのでしょう?ヘレン・ケラーとサリバンの業績だけを見ていると、見落としてしまいがちですが。。。しかし、その成功の「真の生みの親」は、誰だったでしょうか?
どんな大木も、どんな大企業も、どんな大成功も、もとをたどればすべて、ちいさな種から始まっていることを忘れたくないなと、私などは思ってしまいます。あなたもそう思ってくださると、嬉しいです。
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