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2007年6月12日 (火)

「マーキュリー通信」no.658【心の格差社会を考える-3「拝金主義」】

 介護最大手コムスンが重大な違反を犯し、業務停止命令が下されました。
 昨年購入した親会社グッドウィルの折口雅博会長が書いた本「プロ経営者の条件」(徳間書店刊)を再度読んでみました。
 折口雅博会長は、父親が介護老人となり、哀れな最期を遂げたのが老人介護をやる動機となったそうです。そして、暗いイメージの介護を、明るいイメージの介護に変えていこう決意しました。

 グッドウィルがコムスンを買収した2000年4月期、当時のコムスンの売上高は僅か7億円、それが翌年度は120億円に急上昇。4年で売上は2.9倍、粗利益は8.7倍になった。粗利益が8.7倍なった要因に、架空請求、水増し請求があったと理解するのが妥当です。更に、5年後には更に売上は伸張し、何と70倍以上の500億円に拡大することを見込んでいます。

 さて、これを経営の観点から見れば、短期に売上が急上昇すれば、当然人手不足となり、サービス体制は脆弱となり、どこかに歪みが出てきます。
 コムスンの営業ノルマはかなり過酷だそうで、それが実際の数字に表れています。

 介護ビジネスで儲けるなとは言いません。事業だから利益を上げるのは当然です。利益が出なければ、事業の継続が困難となるからです。しかし、介護サービスを充実させながら、事業拡大を図っていくのが筋であり基本です。
 拡大路線をひた走り、それが「プロ経営者の条件」と勘違いしている折口会長に哀れみを感じます。これでは「拝金主義」という折口教祖の新興宗教にしか過ぎません。

 昨年、ホリエモン、村上ファンドの村上代表等も拝金主義者です。金を儲けることが悪いのではなく、その中味です。人を騙し、法律を犯し、社会に迷惑をかけて金儲けしても、そんなもうけは賞賛に値しません。

 六本木ヒルズ族という言葉が流行りました。彼等は経済的には確かに勝ち組です。しかし、心の面では負け組です。「悪因悪果」という仏教用語があります。悪い種を蒔けば、一時的に成功したかのように見えるけれど、いずれ悪い結果となるという意味です。別の意味では、彼等は偽善者です。
 コムスン事件を聞いて、経済的豊かさより心の豊かさの重要性を改めて実感しました。

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