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2007年8月14日 (火)

「マーキュリー通信」no.699【心の格差社会を考える-5「何のために働くのか」】

 終戦直後の廃墟の跡では、日本人は食べる為に働きました。あれから60年が経ち、今又「取り敢えず食べることができ、今が楽しければ良い」と思う若者が増えています。
 しかし、人間は仕事を通じて成長していきます。仕事が厳しければ厳しいほど自己成長に繋がります。何年か経った後にそれを感じます。
 そして、自分の仕事が社会に貢献していることが判ると更にその幸福感は増していきます。尚、ここでいう仕事とは収益を産まない仕事も含みます。女性の最大の仕事は出産、子育てです。この女性しかできない尊い仕事を通じ女性は成長していきます。この喜びと幸福感は男性には絶対味わえません。

 さて、北尾吉孝氏(SBIホールディングス代表取締役)が最近書いた「何の為に働くのか」(致知出版社1575円)を読むと仕事の価値に関し実に明確に書いてあります。
 北尾氏は、尊敬する中村天風氏の「働くことが人間性を深め、人格を高くする。働くことは人間を磨くこと、魂を磨くことだ」を引用しています。又、「仕事とは天命に従って行うもの」と主張しています。北尾吉孝氏とは、野村證券勤務時代にお会いしたことがありますが、「生き馬の目を抜く」ようなエリートビジネスマンの北尾氏がこのような考え方をしていることに驚き入りました。
 天命に従って行う為には、天職を見つける必要があります。それには自分はどのような人生を歩みたいのか、その為にはどのような職業に就いたら良いのかを真剣に考え、その職業に就いたら、ただひたすら一心不乱に働くことです。そしてその中から自分の天職が見つかっていきます。

 一方、米国のエリートビジネスマンは、リタイアするまでに10億円を貯め込むことを目標とする。そして、リタイアしたら悠々自適の老後を送ることです。この点、仕事は公の為に働く、天命に生きるという古来日本人の仕事観とは異なります。日本人はそこに誇りを持つべきです。

 自分の職業に誇りを持つ。そうなれば収入の多寡は余り気にならなくなります。「何のために働くのか」を判らないまま中高年になった時に一番辛いのは本人です。そこに物凄い心の格差を感じます。収入の格差以上の心の格差を感じます。その時点では、心の格差はもう取り返しがつかなくなります。
 職業としてのフリーターは実は心のフリーターでもあるのです。だから私は若い人に強く言いたいのです。年取ってから一番後悔するのは自分だということを。

 尚、北尾氏の「何の為に働くのか」は、今年読んだ本の中では出色です。★★★★★のお勧め本です。

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