「マーキュリー通信」no.778【私のコミュニケーション論-49」「理解してから理解される」】
「理解してから理解される」は7つの習慣の第5の習慣です。
よく「言った、言わない」といってお互いに口論することがあります。これは正確には、自分としては「言った」つもりだけれど、「相手が理解していない」ケースが大半です。電話1つとっても分かります。
マーキュリー物産に電話にかかってきたときに、私は「マーキュリー物産の菅谷でございます」と応えます。しかし、多くの人が、「マーキュリー物産さんですか?」とか、「菅谷さんはいらっしゃいますか?」と聞いています。
又、私の携帯に電話が来る場合、大半は電話帳登録してあるので誰からの電話だか直ぐに分かります。たまに、登録していない人から電話がかかってきます。その時は、「はい、菅谷でございます」と応えますが、大半の人が「菅谷さんですか?」と聞き返します。私は自分の名前を名乗るときは、ゆっくりと相手が聞き取りやすいように応えます。マーキュリー物産や私に電話をかけてくる時、当然私宛に電話をかけてくるはずであり、私が電話口に出ることを期待してかけてきているはずすが、それでもこんなもんです。人って人の言ったことをいかに聞いていないかを電話1つとっただけでも分かります。
三井物産の情報通信事業部の上司でH室長は、東大卒で頭脳明晰な方でした。H室長は、常日頃、「いかに言いたいことを的確に短時間で相手に伝えるか」を重要視し、それを自慢していました。又、せっかちな性格で、何か部下から聞きたくなると、部下を呼びつけ、自分の言いたいと事を立て板に水の如くよどみなく話し始めます。突然呼ばれた部下は、心の準備ができて無く、おまけにH室長が早口でまくし立てるので緊張して理解できません。そこで、不明な点を聞き返すと、「今、言ったばかしじゃないか」と怒られます。
ある時、H室長の所に新人の女性A子さんが配属されてきました。H室長は、A子さんに稟議書の持ち回りを指示しました。管理部門に稟議書を持参し、説明をして、照査印をもらってくる仕事です。しかし、新人のA子さんに稟議書の内容など理解できるはずがありません。A子さんは管理部門から質問を受けても応えられずに帰ってきました。泣きべそをかくA子さんを見て、H室長は謝りました。「ごめん、ごめん、A子さんは稟議書のセットの仕方は研修で習ったようだけれど、まだ稟議書の内容を説明していなかった」と謝っているH室長を見て、周りの室員は唖然としました。新人の事務職の女性にいくら稟議書の内容を説明しても理解できるはずがありません。
H室長は、その後脳梗塞で倒れ、饒舌な舌が回らず、話す方で苦労をしたのは皮肉なモノです。
「理解してから理解される」は奥が深いです。かくいう私も未だに満足のいくところまで実践がついていっていません。商社マン育ちの私は、「一を聞いて十を知る」という教育を受けてきました。相手が一言言えば次に何を言うかがたいがい分かります。日頃忙しい私は、相手の言うことを最後まで聞かずに判断しがちです。相手からすると全部聞いてくれないというフラストレーションが生じてきます。相手を理解したつもりでも、相手からすると、全部聞いてくれないと全部理解してもらったという納得感となりません。この辺が私にとっての修行課題ととらえています。
尚、「理解してから理解される」の奥義を究めていけば、仕事面でも当然成果が現れてきます。
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