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2010年12月21日 (火)

「マーキュリー通信」no.1571【第97回 「フィナンシャルクラブ入山理事長「日本振興銀行破綻の真相」を語る】

本年最後の「第97回新しい時代を創る経営者の会」は、フィナンシャルクラブ入山利彦理事長(三菱商事元顧問)に「日本振興銀行破綻の真相に迫る」と題して語っていただきました。

97ajk2_3 小泉政権時代は金融界の革命児ともてはやされた木村剛氏は、本年日本振興銀行金融事件の責任を問われ逮捕拘留され、最近保釈されました。
マスコミ等では墜ちた時代の寵児として罪人扱いされています。
本日は、木村剛氏と25年間の付き合いがあり、彼がまだ20代の無名の頃から、応援してきた入山利彦理事長に木村剛氏の虚像と実像を忌憚なく語っていただきました。
本日はオフレコの部分もかなり多く、その部分は割愛した為、ちょっと迫力に欠けますが、多くの経営者にとって非常に示唆に富み、経営の参考になると思います。

木村剛氏は、富山出身のサッカー好きのスポーツマンであり、彼をひと言で評すなら、天才肌で純粋なお人好しの義理人情に厚い人間といえる。
では金融にかけては天才の木村剛氏が、なぜ金融事件を引き起こしてしまったのか。

彼は金融のコンサルタントとしては超一流だった。しかし、悲しいことに実業界の実務や現場を知らない。そんな人間が経営者となったのが悲劇の始まりといえる。
加えて彼は人を信じやすい性格だし、そこに落とし穴があったといえる。
日本振興銀行は6000億円の預金を低利で集めたが、自己資本比率4%を遵守しなければならない。その為、4%に当たる240億円の資本金を確保しなければならない状態にあった。

創業当時、実質力を持っていたのが社長候補で部長の落合氏だった。その落合氏が集めた金の中に問題の株主が存在していた。それに気づき落合氏を退け、その結果木村剛氏は社長を引受けざるを得ず、諮らずも実権を握ることとなった。
その時から、振興銀行の本来のミッションからぶれ始めることになる。
本来のミッションは、大手銀行から融資を受けられない中小企業に対し8~5%程度の比較的高い利率で融資することだった。
ところが木村剛氏は、銀行設立の経緯とその後の展開から、早期の上場を目指すことになり、利益至上主義に傾いていった。
そんな時に、SFCG(旧商工ファンド)の大島健信会長と出会う。

SFCGは、振興銀行より高い利率で中小企業に融資を行っていたノンバンクだが、利息上限法制定により経営に大打撃を受け、破綻する。その債権を振興

銀行が買ったのだが、これが振興銀行の命取りになった。木村剛氏は、結果として大島会長に欺されたといえる。

ここで入山理事長は、金融は魔物だとしみじみと語ります。
中小企業から融資を懇願され続け、木村剛氏はさながら教祖様のような存在になって行った。本来コンサルタント業に徹すれば良いものを、現場を知らない経営者となったことと、何が何でも成功しなければならないと言うプライドが悲劇の始まりといえる。

入山理事長は、振興銀行の教訓から失敗の3原則を語る。
1.アクセルとブレーキを1人の人間が持つこと
2.やりすぎはいけない(ポイントオブノーリターンを超えない)
3.得意分野で失敗する

そして、最後に取締役が経営判断をする際に、株主代表訴訟に耐えられる4つのルールを語りました。
1.充分な調査をしたか
2.比較検討はしたか
3.充分議論をしたか
4.会社の正式な機関で決めたか

そして不祥事が起きた時の対処方法
1.事実の確認
2.原因の究明
3.再発防止対策
4.違反者の迅速な処分

最後に企業人として、又社会人としての心構え
1.嘘を言わない
2.隠さない
3.逃げない
は、普遍の理であります。
                                                                                        完

97ajk2_2 入山理事長は、保釈後も軟禁状態の木村剛氏とはコンタクトが取れないそうです。
「罪を憎んで人を憎まず」が現在の入山理事長の心境だそうです。
そして、日本の金融界の為にも今回の事件を早く語って欲しいとのことです。
終わりに際し、木村氏の社会復帰と再起を祈ると同時に、後世の金融の為に、全貌を明らかにし、何が良くて何が悪かったのか語って欲しい。

若き木村氏が日銀時代に名乗ったペンネーム「織坂剛」は織田信長、坂本龍馬、そして木村剛からとった名前とのことです。正に改革の志であり、又、吉田松陰の言葉を借りれば、「かくすれば、かくなると知りながら、やむにやまれぬ大和魂」と言う心境だと思いますが、やむにやまれぬとは何なのかを知りたいところである。

◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆

今回で第97回目の「新しい時代を創る経営者の会」ですが、講師やプレゼンターの方が、一度も欠席せず、皆勤だったことに感謝申し上げます。
当たり前のようで、100回近くの会の全てで責任を全うして戴いた方に厚くお礼申し上げます。

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