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2011年1月10日 (月)

「マーキュリー通信」no.1595【ベストセラー書「日本は世界第4位の海洋大国」に学ぶ】

今年も良書に多数出会っています。

1月6日付「マーキュリー通信」「公共事業が日本を救う」に続き、今回は「日本は世界第4位の海洋大国」(山田吉彦著 講談社アルファ新書880円)をご紹介します。

日本は島国の資源小国というイメージが強いですが、実は海の面積を考慮すると世界第6位(447万㎡)、海の深さも考慮した体積で計算すると世界第4位(1580万立米)の海洋国家となります。

この海には膨大な海底資源が眠っており、大半が手つかずの状態で、産業界もやっとその重要性に気づき、企業化調査を開始したところです。

BRICSを始めとする新興国の経済成長と人口増加は世界的資源不足と高騰を引き起こしていますが、一方で海底資源も経済的に確保できる段階となって来ました。

昨年中国が尖閣諸島事件を起こしましたが、尖閣諸島周辺にはイラクの原油埋蔵量に匹敵する1000億バーレル、700兆円の膨大な石油資源が埋蔵されていると見られている。
もしこれが事実なら日本は世界有数の石油産出国となります。

だから、日本政府としては、国家の安全保障と石油資源確保の為に、全力で尖閣諸島を守る必要があるわけです。

さて、日本は世界第6位の海洋国家ですが、海洋資源には3種類あります。

第1の海洋資源は海底資源です。
前述の原油以外に、日本の天然ガス消費量100年分に相当するメタンハイドレートが埋蔵されていると言われています。

第2の海洋資源は海洋資源です。
最大のものは塩素であり、次いでナトリウム、マグネシウムです。
それ以外に、金、ウラン、レアメタルが海洋中に存在しています。

第3の海洋資源は一番ポピュラーな水産資源です。しかし、最近日本の経済的排他水域に中国を始めとする海外の漁船が違法操業しており、日本の漁民の死活問題となっています。

さて、これまで日本は資源小国ということで国防には無関心でした。しかし、昨年の中国の尖閣諸島事件により、国防の重要性に気づかされました。

資源大国の場合、国防は自国の経済権益を確保する為に、国家戦略の最重要事項の1つと位置づけられています。
今後日本が資源大国化していくに際し、政府も経済界もこの点をしっかりと肝に銘じた国家運営をしていく必要があると言えます。

著者は、尖閣諸島油田開発を巡り、中国との関係で最後に日中台+欧米企業の共同開発を提案をしています。もちろん日本の尖閣諸島の石油開発としてです。

オイルメジャーの力を借りて掘削した原油を尖閣諸島から一番近い台湾の基隆(キールン)までパイプライン輸送する。その距離は170kmです。日本の受け皿としたら鹿児島から長崎となるが、その距離は1000kmにもなるので、これが一番現実的と言える。
そこからはタンカーで運べばよい。

これが米国の力も借りながら、経済的に一番メリットのある方法と言えますが、それには日本の軍事力の強化を背景にした発言力の強化も重要です。
今のような弱腰外交では、中国に尖閣諸島を乗っ取られるのは、目に見えています。

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