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2011年1月17日 (月)

「マーキュリー通信」no.1601【大著「文明の衝突」に学ぶ】

ハーバード大学の政治学者サミュエル・ハンチントンの「文明の衝突(鈴木主税訳、集英社刊555ページ、2940円)は1996年に出版され、大反響を呼んだ大著でしたが、彼の予想は見事的中しています。

まず第1に注目すべき点は、ソ連の崩壊により冷戦構造は消滅したかに見えましたが、イデオロギー対立はなくなったが、その代わり西欧対非西欧諸国間の文明の衝突が起こるだろうと著者は予想しています。

2001年9月11日米国ニューヨークのワールドトレードセンターにテロリストが飛行機を突っ込むという衝撃の大事件が発生しましたが、その象徴であり、ハンチントン教授が言う文明の衝突に他なりません。

我々は欧米側の論理でこの事件を見ています。

欧米、特に米国は欧米以外の国も欧米の価値観を尊ぶべきと信じている。即ち、「民主主義、自由市場、小さな政府、人権、個人主義、法治主義等」といった価値観です。

しかし、非西欧文化圏の大多数の人々の見方は懐疑的で、これに激しく抵抗するものも多い。西欧人には普遍的と映るものが、他の文化圏の人々には帝国主義と思える。

また非西欧諸国の人々は、西欧には原則と実際の行動の間にギャップがあるとかねがね指摘している。偽善、ダブルスタンダード、例外が普遍論者の裏にあると指摘する。

例えば、イラン、イラクには核兵器の不拡散を要求するが、イスラエルにはそれを求めない。

自由貿易が経済成長に最も重要と提唱するが、農業にはそれを適用しない。

産油国のクエートに対する侵略には強烈な反撃を加えたが、非産油国のボスニアに対する攻撃には手をこまねいたままだ。

上述のことは、非西欧諸国から見れば、ダブルスタンダードであり、そこに不信感が芽生えるのはやむを得ないことと言えます。

西欧と非西欧諸国との間に国際的に解決すべき重要な問題は多々ある。

1.核兵器を中心とする軍事上の優位を保つこと

2.西欧が考える人間尊重と、政治的価値観を非西欧諸国に押しつけること

3.非西欧人の移民、難民の受入制限をして、西欧社会の文化的、社会的、民族的な優越性を保つこと

上記価値観を推し進めていく過程の中で、西欧諸国と非西欧諸国との間に更に軋轢は生じ、紛争や戦争で多数の犠牲者が出ている。

さて、非西欧諸国の中心的文明としてイスラム文明があります。しかし、イスラム教とキリスト教は元々兄弟宗教であり、根本的な部分は似ています。

イスラムでいうジハード(聖戦)はキリスト教のクルーセードに当たります。

クルーセードは十字軍の遠征の時に有名になりました。

両者の違いは、イスラム教が政教不可分なのに対し、キリスト教が分離している点です。
しかし、聖戦を掲げるのはこの2つの世界宗教であり、他の宗教は聖戦という概念はありません。

だからこの点をついて、多くの日本人が宗教が政治が絡むと戦争と結びついたりするので、政教分離が好ましいと思っています。

しかし、それはごく一面生性を指摘したもので、本来はそうではないことをハンチントン教授も指摘しています。

さて、ハンチントン教授は、21世紀は中国文明の台頭を予測しています。中国が新たな覇権国家として勢力を伸ばしてくる。

その時米国の力は衰えてくる。

戦後、日米関係は好関係の時もぎくしゃくした時もありました。

ハンチントン教授は、日本は日米関係をどうするかいろいろと悩みながら、最終的には中国の傘下に入る決断をすると予測しています。

但し、日米安保条約は破棄せず、緩い関係になるのではないかと予測しています。

中国は圧倒的な軍事力で東アジアを支配していく。核兵器は中国以外には持たせない。
その時中国は台湾を併合し、東アジアの覇権を手に入れます。中国が覇権国家になったら、公用語を中国語とし、英語を補完的に使うことになる。

中国の利害に沿った形で、中国の経済発展に有効な貿易、投資政策を採用する。また、反中国的な活動は禁止したり抑圧することになる。

さて、ハンチントン教授の予測を現在の民主党政権に当てはめるとそのようになりつつあります。

沖縄普天間基地の県外移転を謳った民主党政権は、日米関係の悪化をもたらしました。
一方で、中国に対する朝貢外交を始め、ハンチントン教授の予測通りの流れとなって来ました。

現在は、日米関係の悪化はまずいと判断し、菅内閣では多少振り子が戻りつつありますが、日米関係が修復するかどうかは予断を許さず、ハンチントン教授の予測通り、悩んだあげく中国の傘下に入ることも充分考えられます。

一方で、中国共産党政府は、ハンチントン教授の予想通り、その国家戦略を着々と実行に移して行っています。

ハンチントン教授は、日中同盟とは言っていません。中国の傘下に入ると言っています。確かに今の民主党政権では、同盟関係ではなく、朝貢関係になることは目に見えています。

残念ながら外交戦略や交渉では大人と赤子の差ですから。

ところで、ハンチントン教授は、日本は極めて非西欧的なので西欧文明には分類できない。さりとて、中国とも全く違う。ということで、日本を第8の文明と位置づけています。

米国の教授に指摘され、日本の文化文明の素晴らしさと独自性に気づかされましたが、今後日本は、日本の良さを再認識し、第8の文明圏の国家として、独自路線を歩んで行くことを模索することも重要と言えます。

それは「マーキュリー通信」のシリーズ「未来ビジョン! 目指せ新しい国づくり!」で述べていますので、そちらをご参照下さい。

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