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2011年3月25日 (金)

「マーキュリー通信」no.1649【英国病を救ったサッチャー首相のバイブル、ノーベル経済学者ハイエクの見識と叡知に学ぶ】

ノーベル経済学者ハイエクは、第2次世界大戦終戦の一年前の1944年に経済学書「隷従への道」を発表しました。

戦勝国の英国は、戦後「ゆりかごから墓場まで」をキャッチコピーに掲げる労働党が政権をとった為、英国病に陥り、国民の暮らしは改善されず、敗戦国ドイツに抜かれてしまい、英国民は不満が鬱積していました。

そこで、サッチャー首相は、ハイエクの経済学書「隷従への道」を参考に大きな政策転換を果たしました。

政策の基本は、自由競争を基本とした小さな政府の実行です。その為に、規制緩和を徹底的に行いました。大きな政府からの政策転換は、英国に活気を取り戻し、見事経済成長を果たします。

さて、上智大学渡部昇一名誉教授が、「隷従への道」を基に我々日本人に分かりやすく解説した本が、「自由をいかに守るか ハイエクを読み直す」(PHP新書)です。

「善意で舗装された道は、地獄へ通ず」とよく言われますが、「ゆりかごから墓場まで」というキャッチコピーはまさにこれに当たります。高福祉社会なども同様に悪魔のささやきといえます。

「ゆりかごから墓場まで」という理念は社会主義政策に基づいていますが、社会主義、更には共産主義は、全体主義国家へと進むことが歴史からも証明されています。それを1944年時点で、見事見抜いたハイエクの慧眼には敬服します。

具体的な実例として、ナチスドイツが挙げられます。ヒットラーは民意で選ばれ、政権の座につきましたが、政策の基本は社会主義政策でした。
しかし、権力を持つにつれ、全体主義国家へと突き進んでいきました。

戦後日本でなぜハイエクが余り注目されなかったのでしょうか。それは、日本ではマルクス経済学者が幅をきかせ、ハイエクの説、「社会主義はヒットラーの全体主義国家に進む」を認めてしまうと、マルクス経済学のマイナスイメージに繋がるので、ひたすら封印されてきました。
ハイエクは、マルクス主義は、ファシズムと国家社会主義であると喝破しています。

私の学生時代は、1970年前後ですが、我が母校一橋大学でもマルクス経済学と近代経済学が流行っていました。近代経済学では、ケインズが一番人気、次いでシュンペーターでした。残念ながら経済学の巨匠ハイエクの名前は一応知っている程度でした。

私の年代、団塊の世代以上の年代は、マルクス経済に対する心理的な肯定感があります。社会主義や左翼主義を潜在的に受け入れる人が多いのは、このためと思われます。

日本でも、大蔵省(現財務相)のとってきた護送船団政策は、まさに社会主義政策です。
日本の銀行は、大蔵省に自由を拘束され、大蔵省に隷従してきました。バブル崩壊後に破綻する銀行が次々と現れた為、合併によりメガバンクが誕生しましたが、国際競走力では劣ります。これも護送船団という社会主義政策の弊害といえます。

その他、政府がとってきた社会主義政策はことごとく失敗しています。農業なども、補助金漬けによる過剰干渉で、国際競争力を失っています。

官僚の大半は、社会主義志向の為、必然的に社会主義政策をとります。その理由は、社会主義政策においては、官僚の権限が増し、民間企業をコントロールできるからです。一度握った権力を手放すのは非常に難しいことです。

今後、日本が再び繁栄の道を目指すには、規制緩和を徹底的に断行し、「繁栄を通じた政策"through prosperity"」に切り替えることです。

一方で、政府の庇護を受けない産業は発展しています。自動車産業や家電産業はその典型です。

その意味では、民主党の子ども手当を始めとするばらまき政策は経済成長や繁栄とは真逆の政策であり、国家を衰退させる極めて悪政だと渡部昇一名誉教授は主張します。

民主党の政策の突き進む先は、全体主義、そして国家の滅亡へと繋がっていきます。民主党の不幸なところは、政権を取ってしまったところにあります。

社会主義は、主義主張を掲げている間は良いのですが、これを実際に実行に移すと全体主義に向け突き進んでいくことになる事を、歴史が証明しています。

旧社会党の偉いところは、何でも反対する野党に徹しましたが、絶対に政権を取ろうとしなかったことです。

それではなぜ社会主義を実践するとまずいのでしょうか。
例えば、マルクス主義の基本的考え方である「貧富の差を是正する」という目的、理念は正しいです。しかし、これを実際に実行していった結果どうなったでしょうか。

旧ソ連、旧東欧諸国、北朝鮮、現在の中国、どの社会主国家、共産主義国家をとっても、貧富の差はなくならず、貧富の差が拡大していきました。更に、全体主義国家化していっています。

旧ソ連では、国民はスターリンの番犬となりました。数千万人の旧ソ連人が虐殺されました。スターリンの命令の下、数十万人の日本人がシベリアで抑留され、過酷な労働の為、多数の日本人が命を落としました。又、スターリンの命令の下、終戦直後どさくさにまぎれて北方四島を奪われてしまいました。

ハイエクの「隷従への道」は、出版後67年も経ちますが、その経済的、政治的、社会学的主張は全く色あせておらず、現代社会にも充分通用します。
それを渡部昇一名誉教授が現代風に分かりやすく解説してくれています。

戦後日本のとってきた政策は、自民党政権時代から一貫して社会主義政策でした。

それが民主党に政権交代し、大きな政府、即ち社会主義政策を目指し、アクセルが加速化されています。

民主党の政策は、大企業や金持ちを悪と見なし、そこからお金をむしり取り、低所得者に所得の再分配をしようとしています。この思想自体マルクス主義であり、共産党の綱領と何ら変わりません。

サッチャー首相は「金持ちから富を奪い、貧乏人にしても、貧乏人は救われない」と言いました。けだし名言です。

ここで重要なことは、社会主義政策は、ヒットラーの全体主義国家、ファシズムへと繋がる危険な政策だということを再認識することです。

だから民主党は、今絶対にやってはいけない政策のオンパレードです。規制強化、消費税アップを始めとする増税は、国家滅亡のステップを踏んでいます。

この認識の基に、日本再生の重要な考え方として、徹底的規制緩和による自由の追求です。

賢者は歴史に学び、愚者は自分の経験に固執するとよく言われます。

東日本大震災で、日本は壊滅的打撃を受けましたが、その復興の為に復興庁ができますが、復興の為には、ケインズ経済学である総需要の創出でよいと思います。
しかし、その後はハイエクの自由主義、規制緩和の徹底を果敢に実行していかないと、失われた20年から今度は日本沈没へと突き進んでいきます。

この350ージの力作を7時間かけてじっくり読みましたが、私にとっては 1万円の価値のある本書が僅か840円で入手できます。5つ★のお薦めの1冊です。

◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆

今回の大震災の名称が未だ決まっていないようです。東日本大震災、東北関東大震災等いくつも名称が使われています。早く統一して欲しいです。
これも政府のリーダーシップのなさが一因といえます。

東北地方から出荷された野菜に基準値以上の放射性物質が検出されたとして、政府の指示により出荷停止となりました。
専門家の話によると、1年間連続して摂取した場合に、人体に影響が出るかもしれない程度の基準値オーバーで有り、この程度なら人体に全く影響ないとのことです。

政府のおかしな政策決定で、風評被害が出始め、農家はまたまた迷惑しています。

出荷停止となった野菜は税金で補助が出るそうですが、税金の無駄遣いです。

こういうのも自由のない社会といえます。

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