「マーキュリー通信」no.2385【人生に勝利する方程式-105「人生に勝利する基本は人間力のアップが不可欠」】
シリーズで「ワンポイントアップの人間力」を並行して書いてきました。
私のお伝えしたい人生に勝利する方程式のベースには人間力のアップが欠かせません。この世的に地位と名誉と財をなしても、世間から賞賛されるような成功でなければ人生に勝利したといえないと思っています。
更にはその人の周りの人からその人の生き様が尊敬されるようでなければ真の人生に勝利したとは言えないと思います。世間的には一見成功したと思われていた人が、実は周りの人から軽蔑されていたというケースはいくらでもあります。
最近感銘を受けた書籍、「ドラッカーに先駆けた江戸商人の思想」(平田雅彦著、日経BP刊1600円)から大きな学びを得ました。
江戸の商人には、武士道とは別に「商人道」というものがありました。
近江商人には、「三方よし」という利他の精神が根付いていました。これは「売り手良し、買
い手良し、世間良し」という考え方です。Win-Win+その商売が世間の役に立っているかどうかが重要視されます。
長崎商人西川如見は、「商人道とは、その商品の有る地域の物を無い地域に流通させ、適正利潤を得る事なり。天下の財物を通して、国家の用に役立てること」と定義しています。更には、奢りの心を戒めています。奢りの心ができたときに、天の道に背き、没落が始まると警告を発しています。
商人道では、勤勉が最大の徳目でした。
三井家の「家内式法帳」では、冒頭に「上は天子より、下は万民に至るまで、第1に大切なことは勤勉である」と説いています。
近江商人2代目中井源左衛門は、「人生は勤勉こそ大切である。勤勉でありさえすれば、乏しくて困ることはない。勤めることが利益を生み出す基本である。勤勉に学んだ結果得たものこそ本当の利益である」と言っています。
江戸時代の徒弟制度は、厳しい修行制度に見えますが、実は人格形成の場であったわけです。
明治になって輸入された労働の対価としてのlaborというgive & takeの概念は日本人にはなじみませんでした。明治人は、laborを労働と訳し、はたらく=はたを楽にさせるという考え方と区別していました。
江戸初期の武士鈴木正三は、「人間は出家しなくても、自分の仕事に励むことが仏道修行である。仕事に精励すれば成仏できる。仕事とは、仏様が100億に分身され、この世の全てのものに身を変え、それぞれ世の中の利益の為に重要な役割を果たしている。
鍛冶屋、大工などの職人がいなければ、世の中の役に立つものを調えることはできない。
これと同様に武士がいなければ、世の中が治まらず、農民がいなければ食物が手に入らぬ。
商人がいなければ、物は流通しない。世の中の職業は、全て世の中の役に立つ物ばかりである」とまで説いています。
三菱の中興の祖の一人岩崎小彌太は、「我々の職業は、社会的に見れば、生産者と消費者の中間に立って、最も便利に、最も廉価に商品の分配をはかることにある。
また、国家的に見れば、国内の生産品を生産者の為に、最も有利に、かつ最も広く海外に輸出し、外国の商品を我が国内の生産者又は消費者に最も低廉にかつ最も便利に輸入することにある。
社会、国家に対し、このような重要な任務を遂行することが我々の職業の第一義であり、目的とするところである。
その結果、正当な利益を得ることが第二義である。この順番を間違えるな」と「随時随題」の中で説いています。
このような高い江戸時代の日本人の商道徳は、江戸時代になってから、徳川幕府が全国に寺子
屋制度を普及させ、その中で儒教を奨励したことが大きな要因となっています。
「武士道」と並ぶ「商人道」、我々はもう1本の精神的支柱も取り入れながら生きていけば、
人生に勝利することは間違いないと思います。
◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆
「ドラッカーに先駆けた江戸商人の思想」を読み、教育の重要性を再認識しました。
戦後、米国GHQから押しつけられた薄っぺらな自虐史観で日本の子供たちから自信を奪うのでは
なく、「武士道」と「商人道」をベースとした、教育を進めることが、明るい未来を切り開い
ていく鍵だと思います。
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