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2015年9月 4日 (金)

「マーキュリー通信」no.2746【「文明堂のブランディングとグループ再構築」】

第16回一橋新経済人倶楽部は、株式会社文明堂東京代表取締役大野進司社長によ
る「文明堂のブランディングとグループ再構築」でした。
誰でも知っている文明堂のカステラブランドですが、本日のプレゼンで私たちが
知らない文明堂の表と裏の面を知ることができました。

カステラは、室町時代の末期、南蛮船により鉄砲やキリスト教とともに日本にもた
らされました。
その300年後、文明堂の創業者中川安五郎氏が明治33年(1900年)に長崎で創業
しました。
文明堂は大正11年(1922年)に東京に進出し、のれん分けしていきます。
文明堂の知名度をアップさせたのは、「カステラ一番、電話は二番、三時のおや
つは文明堂」というテレビCMでした。

この抜群の知名度を強力な武器として、贈答品部門では圧倒的な地位を確立して
きました。
そして、のれん分けした兄弟企業が切磋琢磨しながら、経営の意思決定のスピー
ドと地域特性に合わせた商品開発をし、成長軌道に乗っていきました。

しかし、その後この分社化経営のデメリットが目立ち始め、制度疲労していきま
す。兄弟企業間での方向性の違いが経営の足かせになって来ました。
グループ企業各社も、経営統合の必要性を感じていました。

そのような状況の中、文明堂東京の社長に大野進司氏が抜擢されました。

大野社長は、1998年に一橋大学を卒業し、三菱電機の同期入社の現在の奥様と
結婚しました。
当初は、文明堂を事業承継するつもりは全くありませ んでした。

しかし、義父の病気に事情は一変、事業承継を余儀なくされました。当時若干
30 歳のことでした。

サラリーマンからいきなり老舗企業のトップとなった大野社長は、最初大きな
戸惑いを感じました。

しかし、文明堂のグループ事情が、業界経験の全くない大野社長を後押ししまし
た。
又、文明堂の株主でもなく、同族でない何のしがらみもない大野社長を却って受
け容れてくれたようです。

更に、大野社長の謙虚さとさわやかさが社員に好感を与えたようです。

実は文明堂のカステラは、兄弟企業毎に味が異なるそうです。
統合後の文明堂では、それを逆手に取り、お客様に商品の選択の範囲を増やし、
却って喜ばれているそうです。

又、文明堂のカステラは贈答品というイメージが強いですが、若い人でも気楽
に購入できるような商品開発を進めています。

その1つが「おやつカステラ」です。
「おやつカステラ」のパッケージを見た時、大野社長は反対でした。
しかし、社 員、特に女子社員の意見を採り入れたところ、現在大ヒット中だそうです。

昨夜、大野社長から頂いたお土産を妻に渡したら、パッケージをとても気に入り、
食欲をそそられ、直ぐに食べてしまいました。
そして、一気にカステラファンになりました。

妻の言動を見ていると、女性の感性は男性と全く異なり、女性ファンを
引きつける秘訣がここに隠されているような気がしました。

大野社長が就任してから今年で丁度10年が経過しました。
現在では、中四国、九州ほか一部を除く経営統合が実現しました。
改めて大野社長の経営手腕に脱帽しました。

そして、この若い社長の下、今後の文明堂の更なる成長発展が期待できます。
同じ一橋人として、応援していきたいと思います。

======編集後記==========

カステラでは、文明堂と同じく長崎で創業した福砂屋がありますが、こちらは創 業400年の老舗企業です。
しかし、地名度では圧倒的な差があります。

これはひとえに文明堂のCM戦略にあると思います。
こぐま人形のCMは昭和32年(1957年)に開始しましたが、それ以来60年近く
このCM一筋でやってきた企業は他に見当たりません。

文明堂がCMを開始した昭和32年当時私は小学校2年生でした。
私がTVを見始めたのは、皇太子様ご成婚(現在の天皇陛下)の昭和34年からです。
それ以降今でも一番強烈なイメージとして歌と共に残っているのが文明堂のカス
テラのCMです。

マーケティングの視点から見ると、CM戦略の重要性を見直す好例と思います。

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