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2015年12月 1日 (火)

「マーキュリー通信」no.2816【ヘルス・リテラシーのアップと認知症予防で1兆円の社 会貢献】

本日は、Re-Care Japan主催で、桜美林大学加齢・発達研究所所長兼国立長寿医療研究セ

ンター早朝特任補佐鈴木隆雄先生のセミナー「超高齢社会の現状と課題~これからの介

護予防と介護~」を受講しました。

特に印象に残ったのは「ヘルス・リテラシーのアップと認知症予防が社会への貢献」の

部分でした。

1.ヘルス・リテラシーのアップ
ヘルス・リテラシーとは、健康に関するメディアや企業のPRや情報に騙されない知的能

力です。

(1)朝日新聞が、「立ったままズボンをはける高齢者はジムに多く通っている」とい

う記事を載せました。しかもスポーツ庁の役人と朝日新聞の記者が共同で結論づけてい

ます。そして、記事中にはコナミ・スポーツの企業名が載っています。明らかにやらせ

記事です。このような手法は、科学的根拠がなく、詐欺の部類に入ります。

(2)グルコサミンを飲むと、ひざ関節痛が治りますとの広告は、母数となる人数が示

さなければ、意味がない。1000人に試して2~3人ならたまたま治ったに過ぎず、因果関

係が認められない。
この種の、○○を服用して、元気になった等の類いは、母数が大事です。

(3)街行く人にアンケートをしました。運動をしている人ほど風邪をひかないとの結

論。これも論理矛盾。運動をしている人はもともと健康意識が高い。又、風邪をひいて

いたら外で運動しない。だから外で運動している人は、風邪をひいていない確率が高く

なるわけです。

2.認知症予防で1兆円の社会貢献
前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者(75歳以上)は、人口の26.7%、それぞれ1700万

人ずつ計3400万人いるが、今後は団塊の世代が後期高齢者の仲間入りをする頃には、前

期高齢者と後期高齢者の比率は1対2になる。
後期高齢者になると、認知症の比率が一気に増していく。
要介護者は、前期高齢者では2.3%なのに対し、後期高齢者になると14.3%に急増してい

く。

従って、前期高齢者の間に、いかに介護を受けない、認知症とならない生活習慣をして

いくかが肝要と言える。

現在認知症患者は15%462万人いるが、更に予備軍としてこれ以上の人数500万人いる

一度認知症になったら治すことは困難だが、予備軍の人は治すことができる。

この認知症予備軍を2年間遅らせると33万人の認知症患者を減らすことができる。それに

よる社会保障費の削減額は約1兆円にも上る。

認知症予防としては、下記項目を実践することです。
(1)生活習慣病にならないように心がける:高血圧、高脂血症、糖尿病
(2)抗酸化作用の高い食物摂取を心がける
(3)適度の飲酒、特に赤ワインが良い
(4)禁煙
(5)適度な運動
(6)知的活動の実施
(7)社会活動の実施

認知症予防は、高齢者になってからでなく、若い時から上記のような生活習慣をしてお

くことが大切と言える。

特に上記(1)~(5)を日常採り入れているかどうかで、高齢者になった時に、認知

症にかかる確率が減るといえる。

◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆

本日のセミナーは、介護産業向けのセミナーでしたが、高齢者向けこれらの産業は右肩

上がりで伸びています。

本来これらの産業は伸びない方が良いのですが、これもまさに高齢者社会の進展を感じ

させます。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

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