「マーキュリー通信」no.2981【ワンポイントアップの経営術-154「経営戦略と経営者の 資質が企業業績に大きな影響を与える」】
6月20日に開催された第190回IT経営改革研究会で、旭化成OB谷下喬一氏が、今ホットな
話題となっている「鴻海精密によるシャープ買収を考える」を講演しました。日米中の
経営戦略と経営者の資質が企業経営に大きな影響を与えていることを実感しました。
鴻海精密工業の創業経営者、郭台銘CEOは外省人の台湾人です。
郭台銘CEOの経営能力により、鴻海精密工業を一代で世界第3位の従業員数(120万人~
130万人)を誇る一大企業に成長させました。
因みに世界一は、米国ウォルマートで220万人。
鴻海精密工業の2014年の年商は約15兆円利益約5000億円です。シャープの買収額は、
3888億円ですから、同社の企業業績からすれば充分購入できる体力があると言えます。
同社の、最大の取引先は、アップルであり、iPad、iPhone等主力製品を納めています。
アップル側も、同社からの安定供給を高く評価し、両社は切っても切れない関係となっ
ています。
一方、アップルの2014年業績は、年商18兆円、利益約4兆円です。売上では、鴻海と比べ
2割程度多い程度です。しかし、利益は8倍です。
ここに他社と差別化した画期的な付加価値の高い製品を製造する企業と、その下請け企
業の差となって現れています。
鴻海は、徹底的な労働者管理により利益を上げていますが、行き過ぎた労働管理が問題
となり、半年で10名以上の自殺者が出ています。
これに対し、シャープは3兆円の年商に対し2200億円の赤字を出しています。かつて液晶
で一世を風靡したシャープでしたが、その強みが弱みとなり、赤字転落し、会社を身売
りすることとなりました。
さて、この3社を見た時、経営者の資質の違いを感じます。
リスクに果敢に挑戦し、即断即決できるかどうかが経営者の資質の最大のポイントとな
ります。
日本でもソフトバンク、ユニクロのようにカリスマ創業者が経営を引っ張っていく企業
は同様に業績が急拡大しています。
しかし、多くの日本企業は大企業病にかかり、リスクに果敢に挑戦し、即断即決できる
ような経営者は少数派です。
サラリーマン化した大企業の経営者では、弱肉強食のグローバル経済の下、第2のシャー
プが出てくる可能性は充分あります。
これに対し、中小・ベンチャー企業の経営者の強みはリスクに果敢に挑戦し、即断即決
できる事です。
これができない中小企業は、中小企業のままで終わります。
鴻海のシャープの企業買収からそのようなことを学ばせて頂きました。
◆◆◆◆◆◆編集後記◆◆◆◆◆◆◆
一昨日、iPadミニを買い換えました。新製品価格は28,966円(消費税込み、10%のポイ
ント差引価格)でした。但し、+1年保証をつけたので、10,152円の増額。この場合、過
失保証もつきます。
一方、ソフマップの下取り価格は2年半使用しても、14300円でした。従って、実質
14,666円で新製品を購入できたことになります。中古のiPad需要は高いので、下取り高
くも高くなるそうです。これに対し、アンドロイドの中古引き取り価格は安いそうです
。
新製品購入時に値引きはしない代わりに、中古の下取り価格も高いです。流通価格を支
配しているアップルの強大さ、ここにアップルの高収益の秘密を知りました。
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