「マーキュリー通信」no.3048【ワンポイントアップの経営術-164「良いM&Aと悪いM&A」 】
三菱商事がローソンの持ち株比率を33.4%から50%超に引き上げました。その為に1440
億円を投資したと報道されました。
私は三井物産に25年在籍しました。
商社マンという人種は一般的には川下、つまり一般消費者と接点が殆どなく、一般消費
者向けのビジネスは弱いと言われています。
従って、商社マン的発想では、三菱商事がローソンの支配会社になることは、ローソン
向けの商品流通権を完全支配することを意味します。
しかし、その場合価格競争力があるのか、商品開発力等でセブンイレブンやファミマと
差別化した商品展開をできるのか疑問です。
これだけ個人の価値観や商品の好みが多様化した現代で、商社マンが果たしてこれらの
ニーズを取り込むことができるのか疑問です。
良いM&Aとは、買収企業の経営資源と相乗効果が期待できることです。
又、人事交流の面でも、商社マンとコンビニの社員とはかなりのカルチャーギャップが
あります。
たまたま三菱商事出身の新浪前社長の場合、成果を挙げましたが、その後の社長が果た
してうまく経営の舵取りができるのかどうか不透明です。
一方、三井物産では旧情報産業部門のティーガイアと日本ユニシスを全て売却しました
。
こちらは三井物産のグループ経営のシナジー効果を弱め、私は良い売却とは言えないと
思っています。
因みに、日本ユニシスの前社長はNHKの現会長籾井 勝人氏でした。
籾井 勝人氏は鉄鋼部門の出身です。それを全く業界の異なる日本ユニシスの社長に任命
されました。経営者なら鉄鋼でもシステム会社でも大丈夫だろうという軽率な判断でし
た。
予想通り籾井 勝人氏の評判は悪く、日本ユニシスを退任しました。
社長人事も含め企業の買収は自社の強みとの相乗効果が期待できないことが過去の事例
を見ればよく分かります。
| 固定リンク | 0
« 「マーキュリー通信」no.3047【"人生に勝利する方程式-136「主力エンジンに点火する 」】 | トップページ | 【空き家1千万戸時代に チャレンジする-31 「空き家に棲み始めた外来動物の脅威」】 »
コメント