「マーキュリー通信」no.5836【クリエイティブに生きる-156「舞台劇『黒猫と魔法のリンゴ』に感激」】
「ゼロ秒思考の会」のファシリテーター渡辺小百合さんが女優として舞台劇『黒猫と魔法のリンゴ』に出演するとのことで、応援も兼ねて昨夜観劇しました。会場はインディペンデントシアターOJI(旧王子小劇場)でした。
チラシには、吾輩は猫である。名前はまだない。そして、まもなく死ぬ。だから今、君に全てを伝えたい。強くなれ!強くなれタクト!
と書いてあったので、てっきり夏目漱石の「我が輩は猫である」のパロディかと勘違いしていました。
しかし、内容は全く異なり、漱石の小説より遥かに感動感激をいただきました。
劇が始まる前に、制作者が本作品は釈迦、キリスト、ソクラテスの教えのように1000年残る作品としたいと本作品にかける想いを語りました。まさにその想いが伝わってきた作品でした。
舞台は、冒頭天国にいる白猫リラが登場し、悪王リネルに殺された悲しい出来事を語ります。
次に、その恋人であるまだ名もない黒猫が登場します。
彼は年老いた猫、死期を悟ります。自分の命は後90日、その前に、恋人を殺したリネル王に恨みを抱き、復讐を誓います。
そこに赤髪の少年タクトが登場します。
彼は、赤髪を幼馴染みのゴーダに馬鹿にされ、いじめられます。
集団いじめにあっているタクトを黒猫は救います。
タクトもリネル王に両親を殺され、復讐したいと想っています。
意気投合した、2人はリネル王の復讐に燃えます。
一方、バーバラ家はシングル・マザー。2人の子育てをしています。
しかし、リネル王の重臣カミラ宰相の悪巧みで仕事を奪われたバーバラ家は生活に困窮します。
リネル王の息子サム王子はバーバラの次女青い髪のマリアに一目惚れします。
そこで、バーバラに提案、というより指示命令をします。
マリアをサム王子の后として差し出すこと。
代わりにバーバラ家の生活は補償する。
ただし、マリアとは縁を断ちきれと指示します。
これにバーバラ家は反発します。
そこに黒猫とタクトと出会います。
さらにタクトの父が率いている王宮楽団のバイオリン弾きガスパロが加わり、リネル王を滅ぼす計画を立てます。
サム王子とマリアの婚礼の儀式の日、黒猫、タクト他王宮に忍び込むことに成功します。
占い師に変奏したバイオリン弾きガスパロは、リネル王に占いをします。
王の前で魔法のリンゴを振ると、王はネズミに替わってしまいます。
その時、タクト少年は、天才的な声で、ダニーボーイを熱唱します。
その美声は、劇場にこだまし、観客を魅了しました。
しかし、カミラ宰相は、占い師が偽物と分かり、捕らえます。
そして仲間も王宮のゴーリキー将軍によって全員捕らえられます。
全員殺される危機一髪の時、サム王子と新しい后マリアが登場します。
サム王子は、父親リネル王の悪政を反省します。
そして、今後は領民のためになる政治をすることを誓います。
最後に、タクトは幼馴染みのいじめっ子のリーダー ゴーダと仲直りし、一緒に「神々の祝宴」を熱唱します。
祝宴後、タクトはお世話になった黒猫にWiLLと名前をつけます。
その時、黒猫は死期を悟ります。
そして、タクトが寝ている間に静かに去り、あの世へと旅立ちます。
この劇のテーマは、「愛は憎しみを越える」です。
最初、復讐の想いだった黒猫とタクトは、愛の大切さを知ります。
いつしか復讐から与える愛に気づき、皆がハッピーエンドになるストーリーです。
劇作家が、劇の始まる前に、1000年残る作品にしたいという想いを語りました。
イエス、釈尊、ソクラテスも皆愛の大切さを説きました。
だからその教えは2000年経っても、普遍の真理として遺っているのですね。
観劇代は食事付きで5400円でしたが、私にとっては1万円の価値がある感激の演技でした!
本作品は、13日明日までです。
上演時間は、本日が14時、19時半の2回、明日は14時の1回のみです。
超お奨めの作品です。
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