本書は、中條高徳氏の米国に住むお孫さん景子さん(当時18歳)が、担任の先生から戦
争を知っている祖父に景子さんの疑問をぶつけ、解答してもらったらどうかというアド
バイスに従い、できあがった書です。
同氏は、昭和2年生まれで終戦時の年齢は18歳なので、出兵はしていませんが、戦中派と
いえます。
その体験から若者としてどのように感じ、そして社会人となってから戦前戦後を通じ、
日本がどのように変わっていったのかを孫の景子さんに率直に解答しています。
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19世紀は欧米の帝国主義全盛の時代でした。
アジアの大国清国が1840年アヘン戦争で大英帝国に破れ、香港が割譲されます。
当時の日本は江戸末期の時代でしたが、欧米列強の侵略に脅威を抱き、当初は攘夷論で
染まっていた日本は、軍事力の強化が重要なことに気づきます。
そして、開国→明治維新へと時代が動き、殖産興業と国防強化が2大国是となります。
この流れの中で、当時の大国、清国とロシアと戦い勝利します。
米国は日本の軍事的台頭に警戒心を抱き、太平洋進出の橋頭堡を築くために、ハワイを
侵略し、植民地化します。
当時の日本の最大の軍事的脅威はロシアでした。
1917年に革命が起き、レーニンの共産主義政権ソビエトが誕生しました。その後、レー
ニンの後を受け継いだ独裁者スターリンの時代となり、その脅威は更に増していきまし
た。
このまま放置すれば日本はロシアに侵略されるという脅威が益々強くなっていきました
。これを防止する為に、日本は大陸に進攻し、朝鮮、中国を支配していきます。
その頃、米国は満州鉄道の共同経営を提案しましたが、日本はこれを拒否します。中條
高徳氏は、この決断が米国を敵に回し、(日本側の呼称は大東亜戦争、米国側の呼称は
太平洋戦争)を余儀なくされたのではないかと推測しています。
アジアの植民地化に後れをとった米国は中国大陸の支配をもくろみ、だんだんと日本の
存在が邪魔になって来ました。
米国は蒋介石の中華民国を支援し、日本の追放を画策します。
尚、日本は現在の中共政権とは戦っていません。当時は、蒋介石の中華民国と毛沢東の
共産党政権の内戦でした。蒋介石の中華民国と日本軍が戦い、中華民国は弱体化し、そ
の結果毛沢東の共産党政権は漁夫の利を得た勝利でした。従って、毛沢東は反日ではな
く、むしろ日本の存在に感謝していました。
米国は、ABCD(アメリカ、ブリティッシュ、チャイナ、オランダの頭文字)包囲網を敷
き、日本への資源供給を止めていきます。
そして、ハルノートという最後通牒を突きつけ、日本が開戦をせざるを得ない状況に追
い込みました。
従って、米国との戦争は決して日本が望んだモノではないことが分かります。
日本政府は大東亜共栄圏を掲げ、アジア諸国の互恵平等を通じたアジアの成長発展を掲
げ、欧米の植民地からの解放を目指していました。
日本は大東亜戦争で負けはしたが、戦後アジア各国が次々と独立し、日本の掲げる大東
亜共栄圏は成就するに到りました。このことにアジア諸国は現在でも大変感謝していま
す。
更には、アフリカ、中南米諸国も刺激を受け、欧米の植民地支配から解放される引き金
となっていきました。
さて、敗戦後、マッカーサーの占領軍が日本を支配し、敗戦後の7年後にようやく独立国
家として復帰しました。
占領軍の時代は、言論の自由は許されず、全て占領軍の言うとおりの時代でした。占領
統治の7年間で、戦前の日本が悪いということを徹底的に洗脳されました。その洗脳状態
が現在まで続いています。
主権を失った悔しさ、屈辱感を知らない今の日本人には分からないでしょうが、国が負
けると言うことはそういうことだと中條高徳氏は身をもって知りました。
今の憲法は占領軍によってできたものですが、主権を回復した1952年に本来新しい憲法
を創るべきだったのですが、未だに新憲法ができていないこと自体実に不可思議なこと
です。
一方、戦前の日本の精神構造も占領軍によって否定され、その悪影響が到る所に出てい
ます。
戦前、教育勅語というすばらしい教育の基本精神があり、それを生徒は覚え、それに従
い、行動していました。
中條高徳氏は、女性は不浄なモノとして教えられ、アンタッチャブルな存在だったそう
です。
当時の日本人兵士が受けた教育、精神構造からみて、従軍慰安婦問題や南京大虐殺30万
人説など絶対あり得ないことです。
一方、東京裁判では戦勝国が敗戦国を裁くという前代未聞の国際法違反の裁判が行われ
ました。
今では東京裁判は国際法違反であることが定説になっていますが、今の日本人は未だに
東京裁判史観から脱却できていないのが不思議です。そして、東京裁判史観に基づいた
自虐史観教育未だに行われていることは嘆かわしいことです。
最後に中條高徳氏は、天皇陛下の存在があったからこそ現在の日本がある。2600年以上
に亘り、日本の国体が維持できてきたのは、天皇陛下の存在、天皇が日本人の精神的支
柱となってきたとを力説しています。
当時の米国世論は、天皇死刑論まで出ていましたが、国体を護持するために、日本は天
皇制を維持すべきだと主張しました。そして、この国体が護持できたために、戦後の平
和国家日本の成長発展に繋がっていたことを強調しています。
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今年は戦後70年の年ですが、本書は正しい近現代史を理解する為の良書の1つと思いま
す。
調布中学3年生の時の担任K先生も中條高徳氏と同じ昭和2年生まれです。
しかし、K先生は毎回ホームルームの時間に、「多くの若者が天皇陛下万歳!と唱えなが
ら死んでいった。だから日の丸、君が代は絶対反対だ!」と涙ながらに訴えていました
。
非常に純な先生でしたが、今思うと全くの世間知らずだっといえます。純なだけでは教
え子に間違ったことを吹聴してしまいます。
今から45年前、70年安保の1970年、私は大学生でした。
当時も、今回同様左翼マスコミに多くの若者が踊らされ、日米安保条約の改定により日
本は徴兵令が採用となり、軍事国家の道を突き進んでいく。だから安保条約反対と、当
時純粋に戦争法案反対を主張していました。
当時、安保賛成を口走ると国賊と罵倒されるような風潮でした。
しかし、その後45年間、毎年のように世界中のどこかで戦争が勃発してきた中で日本は
平和を謳歌してきました。
あれから時代が変わり、中国の軍事的脅威が目に見える形になってきたにも関わらず、
左翼マスコミと左翼政党は45年前と同様の主張をしています。そして、安保法制は合憲
と主張するなら奇人変人扱いされるような風潮です。
マスコミの体質は昔も今も変わっていないようです。本来中條高徳氏のような常識人の
声をもっと国民に伝えるべきですが、自分たちの偏狭な異見以外を国民に伝えようとし
ません。自分たちがファシズム体質であることに早く気づくべきと思います。
最近主婦や学生がデモ行進に参加し、安保反対、憲法9条死守を叫んでいます。政治に関
心を持つことは良いことですが、左翼新聞の受け売りで、余りにも世間知らずです。も
っと勉強して欲しいと思います。
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