「マーキュリー通信」no.3322【近代資本主義の父、渋沢栄一賞受賞の三州製菓斉之平 社長がその実践経営を語る】
第28回一橋新経済人倶楽部では、「渋沢栄一賞」を受賞した三州製菓株式会社代表取締
役斉之平伸一社長記念講演会でした。
中小企業経営は、一般的には社長のトップダウン型経営ですが、斉之平社長の経営スタ
イルは真逆です。
それを果敢に実行し、ES(従業員満足)を最高値まで引き上げている素晴らしい経営を
実践しています。
以下はその講演内容の抜粋です。
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日本の近代資本主義の父と言われている渋沢栄一翁は「論語とそろばん」の標語を掲げ
、企業は単に利益に走るだけでなく、社会の公器として社会貢献することも企業の責務
と提唱しました。
渋沢栄一翁は、資本主義を超える会社形態として合本主義を提唱しましたが、度々不祥
事を起こしている現代企業において、まさに渋沢栄一翁の提唱した合本主義を学んで欲
しいと思います。
埼玉県では同県が輩出した英雄渋沢栄一翁を称え、全国の企業経営者で渋沢栄一翁の経
営哲学に基づき実践、成果を出している経営者に毎年「渋沢栄一賞」を授与してきまし
た。
三州製菓斉之平社長も長年の功績が認められ、昨年「渋沢栄一賞」を受賞しました。
三州製菓の経営には渋沢栄一翁の経営哲学を学んだ斉之平社長の企業理念が至る所に活
かされています。
1.逆ピラミッド型経営
中小企業では通常社長のトップダウン型経営が一般的です。しかし、同社では従業員
が最前線で活躍できる場を創ることに専心しています。
煎餅作りのメーカー、三州製菓はお客様を一番大切にしています。そのお客様と接点
を持つ従業員を一番大切と考えています。
同社では管理職と呼ばずに支援職と呼んでいる。
2.マーケティング戦略
ドラッカーは、「マーケティングとは販売を不要とすること」と定義しています。同
社ではマーケティング戦略を確立することで、従業員に営業ノルマをかけずに、経営目
標達成を目指しています。
3.女性の活用
女性が活用できる場を様々な場面で提供している。煎餅作りには女性の意見は不可欠
です。その為、男性の発言を禁止して、女性の意見を自由に言わせる会議もある。女性
のアイデアに基づいてスナック「揚げパスタ」を開発し、現在、三州製菓の主力商品に
育っています。
女性の管理職採用比率:国の目標30%に対し現在28%。更に35%まで引き上げること
を計画。又、役員は、50%を達成しています。
4.ワークライフバランス
私生活も充実できるよう残業は上司の許可制に。
有給休暇取得率が83%と驚異的な高さを誇るのも斉之平社長の経営理念が徹底してい
る証左といえる。
更に、育メン制度。こちらは全企業平均3%に対し、何と100%は驚かされる。
5.生涯現役制度
超高齢社会の進展に伴い高齢者の活用も重視しており、77歳まで働けるようにしてい
る。高齢者の給与体系は能力重視。その人の能力に見合った給与として本人のやる気を
促している。
渋沢栄一翁の合本主義の考えは、利益を目標にしてはいけない。あくまでも手段であり
、結果であるとしています。
斉之平社長は、親から受け継いだ同社を渋沢栄一翁の経営理念を長年かけて着実に実践
してきました。
本日の講演を拝聴し、斉之平社長の真摯な姿勢が受講者に伝わってきました。
そして同社の従業員は幸福だなあと感じました。
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